前房(読み)ぜんぼう

精選版 日本国語大辞典 「前房」の意味・読み・例文・類語

ぜん‐ぼう ‥バウ【前房】

〘名〙
① 家の最も前方にある棟。前の部屋
西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一一「その羸病、殊に甚く、前房より後房に移るにも、嬰児の如く侍養する人の臂に倚り」 〔韓邦清‐長安宮女行〕
② 目の水晶体、および虹彩(こうさい)角膜との間の部分をいう。
※造化妙々奇談(1879‐80)〈宮崎柳条〉五「物像之れを透せば必らず束小して前房(ゼンバウ)の水液中(みづのなか)に撮入す」

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デジタル大辞泉 「前房」の意味・読み・例文・類語

ぜん‐ぼう〔‐バウ〕【前房】

眼球で、角膜虹彩および水晶体の間にある、房水に満たされた部分。前眼房。→眼房

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世界大百科事典(旧版)内の前房の言及

【角膜】より

…ヒトの場合,内皮細胞は生後,細胞分裂をしないと考えられ,年齢が加わるに伴い細胞密度は徐々に減少する。内皮細胞は前房(角膜の後方,虹彩の前方の部分)から角膜に入る水分の調節を行っており,これが十分に機能しなくなると角膜は膨潤して透明性を失う。角膜が透明であるために必須の細胞である。…

【目∥眼】より

…外膜は角膜と強膜,中膜は虹彩,毛様体および脈絡膜,内膜は網膜からなり,中膜全体をぶどう膜ともいう。眼球の内容の大部分は硝子体で満たされ,その前方には水晶体があり,水晶体の周囲と角膜にいたるすきまである前房は房水で満たされる。虹彩の中央には円形の穴すなわち瞳孔がある。…

※「前房」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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