混晶(読み)コンショウ(その他表記)mixed crystal

デジタル大辞泉 「混晶」の意味・読み・例文・類語

こん‐しょう〔‐シヤウ〕【混晶】

2種以上の物質が混合して一つ結晶を作ったもの。結晶構造の似ているえんどうしは混晶を作りやすい。固溶体一種

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精選版 日本国語大辞典 「混晶」の意味・読み・例文・類語

こん‐しょう‥シャウ【混晶】

  1. 〘 名詞 〙溶体の一種。二つ以上の成分混合物と考えることのできる均一な結晶。たとえば、斜長石灰長石曹長石の混晶とされる。

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改訂新版 世界大百科事典 「混晶」の意味・わかりやすい解説

混晶 (こんしょう)
mixed crystal

2種類以上の物質が原子,または分子のレベルで均一な溶体となった結晶をいう。金属学では同じ意味のことが固溶体solid solutionと呼ばれ,混晶の語はおもに鉱物学で用いられてきた。まだX線構造解析が発展する以前に作られた言葉で,2種類以上の結晶の混合物,あるいは共晶などと誤解されやすいので,むしろ固溶体と統一して使うべきであろう。成分結晶が同じ結晶構造をもち,同時にそれぞれの原子の大きさがあまり違わない場合,その成分結晶は任意の割合で混じり合うことができ,同形混晶isomorphous mixtureとも呼ばれている。
固溶体
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「混晶」の意味・わかりやすい解説

混晶
こんしょう
mixed crystal

互いに結晶構造が類似し、イオン半径あるいは原子半径にあまり大きな差がないような2種以上の物質が混合して均一な結晶となったもの。固溶体の一種。金と銀、金と銅などの金属の組合せでは組成があらゆる割合となる混晶をつくる。ミョウバンタットン塩などの無機塩も混晶をつくりやすい。天然にも多くの鉱物で混晶となったものが知られている。たとえば斜長石は灰長石CaAlSi2O8と曹長石NaAl2Si3O8との混晶とみることができる。

[岩本振武]

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化学辞典 第2版 「混晶」の解説

混晶
コンショウ
mixed crystal

異なる塩類の結晶が互いに均一に溶け合ってできる結晶.固溶体の一種.M M (SO4)2・12H2Oの化学式をもつミョウバン類は代表的な例である.固体ではあるが溶液と類似した性質をもち,連続した割合で溶け合う.結晶の混合融液から析出するときも,溶液中から析出するときも,液体中と同じ組成をもつ.結晶系が同じであるとき(異質同形)にできやすいが,十分条件ではない.

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百科事典マイペディア 「混晶」の意味・わかりやすい解説

混晶【こんしょう】

2種以上の物質が混合して一つの均一な結晶をつくったもの。固溶体と同義に使われることもあるが,主として非金属結晶の場合にいう。結晶格子,原子半径の類似したものが混晶をつくることが多く,各種ミョウバン類などのような同形の塩は混晶をつくりやすい。
→関連項目再結晶

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「混晶」の意味・わかりやすい解説

混晶
こんしょう
mixed crystal

同じ結晶構造をもち,化学成分が異なる2種以上の物質が互いに混合して形成された結晶。化学的には成分物質が種々の割合で混合された混合物にすぎないが,結晶学的には均一な固相をなしている。固溶体と同義であるが,化学結晶学でおもに塩類固溶体に用いる用語。日本語,英語ともドイツ語の Misckristallの訳語で,異相結合混合体と誤られやすい。

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岩石学辞典 「混晶」の解説

混晶

二種類またはそれ以上の同形(isomorphism)または部分的に同形の構成物からなる結晶の一般的な名称.例えば斜長石,斜方輝石などがある[Wahlsrom : 1950].熱力学的には合金や固溶体と同じ現象.

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世界大百科事典(旧版)内の混晶の言及

【固溶体】より

…2種類以上の原子が,ある範囲内において任意の割合で均一に混じり合ってできる結晶。混晶mixed crystalとも呼ばれる。ふつうの化合物(定比化合物)では,たとえば化学式AmBn(m,nは整数)で表されるように,その原子数の比は簡単な整数比をなす。…

【固溶体】より

…2種類以上の原子が,ある範囲内において任意の割合で均一に混じり合ってできる結晶。混晶mixed crystalとも呼ばれる。ふつうの化合物(定比化合物)では,たとえば化学式AmBn(m,nは整数)で表されるように,その原子数の比は簡単な整数比をなす。…

【ラセミ体】より

…二つのエナンチオ異性体がほぼ等しい親和性を示す場合,純粋な混合物が生じる。これをラセミ固溶体または混晶という。エナンチオ異性光学異性【竹内 敬人】。…

※「混晶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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