副腎腫(読み)ふくじんしゅ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「副腎腫」の意味・わかりやすい解説

副腎腫
ふくじんしゅ

ドイツの病理学者グラビッツPaul Grawitz(1850―1932)が提唱したグラビッツ腫瘍(しゅよう)と同義語で、腎腺癌(せんがん)、腎癌、腎細胞癌などともよばれるが、いずれも腎臓の尿細管上皮原生の腫瘍である。副腎腫とよばれた理由は、その明るい胞体をもつ異型性の少ない細胞が副腎の組織にきわめて類似しているため、副腎組織の腎内迷入によって発生すると考えられたからである。病理組織学的には腺癌で、透明細胞型に一致する。現在では病理学的診断としてはほとんど用いられないが、臨床医の間では、とくにアメリカで広く用いられている呼称である。副腎腫瘍とはまったく関係なく、悪性腫瘍であることに注意する必要がある。

田崎 寛]

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改訂新版 世界大百科事典 「副腎腫」の意味・わかりやすい解説

副腎腫 (ふくじんしゅ)

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世界大百科事典(旧版)内の副腎腫の言及

【腎癌】より

…腎臓の尿細管上皮細胞から発生する悪性腫瘍で,副腎腫hypernephroma,あるいはこれを記載したドイツの病理学者グラウィッツPaul Grawitz(1850‐1930)にちなんでグラウィッツ腫瘍Grawitz’s tumorなどと呼ばれたが,最近は腎癌と呼ばれている。高齢の男性に多く,血尿,側腹部腫瘤,疼痛が古くから本症の三大主徴とされている。…

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