改訂新版 世界大百科事典 「副蚕糸」の意味・わかりやすい解説
副蚕糸 (ふくさんし)
繭を繰糸する際,生糸にならないものの総称。きびそ,ようしん,びす,揚り繭などをいうが,選除繭やさなぎなどを含める場合もある。(1)きびそ(生皮苧) 繭の糸口を見つけるため,索緒(さくちよ)ぼうきなどで索緒し,すぐり取った緒糸を集めて乾燥したもの。絹糸紡績の原料となる。(2)ようしん(蛹襯) 繭層の最内層部の薄い糸層。この部分は繰糸することができない。(3)びす(比須) ようしんからさなぎと脱皮殻を除去して乾燥したもので,絹糸紡績の原料となる。(4)揚り繭 繰糸の途中で繰糸不能となったり,生糸品質を悪くすると判断されて除かれた繭。穴あき繭,内部汚染繭,ぼか繭,玉繭などで,乾燥したのち繭層を切開してさなぎなどを除き,絹糸紡績の原料に用いられる。(5)選除繭 煮繭(しやけん)前の工程で繰糸に適さない穴あき繭,汚染繭,はふぬけ繭,蔟着繭(ぞくちやくけん),浮しわ繭,かび繭および玉繭などを選別するが,これらの総称。選除繭はさらに分別されて下級生糸,玉糸,真綿および絹糸紡績用などの原料にふりむけられる。(6)さなぎ(蛹) カイコのさなぎは主成分のタンパク質,脂肪のほかビタミンBも多く含んでいるので,栄養価が高く,家畜飼料や養魚飼料として,そのままあるいは若干加工して使われる。下級品は肥料として用いられている。
執筆者:小河原 貞二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報