助・扶(読み)たすかる

精選版 日本国語大辞典 「助・扶」の意味・読み・例文・類語

たすか・る【助・扶】

〘自ラ五(四)〙 (「たすける(助)」の自動詞形)
① 死の危険や病気、罪科、損害などを免れる。
※宇津保(970‐999頃)国譲下「ものもおぼえざりしに、律師(りし)加持せしこそ、遠く聞こえて、たすかる心ちせしか」
※虎明本狂言・靫猿(室町末‐近世初)「命をたすかったをうれしひと思ふ物じゃ」
② 精神的な苦しみや迷いから救われる。精神的、宗教的に救われる。
※多武峰少将物語(10C中)「あはれに問ひきこえ給へば、それにたすかることどもあり」
※今年竹(1919‐27)〈里見弴〉三人上戸「若い男かなんかであってくれたはうが、まだしもいくらか助かるやうな気持だった」
骨折りや負担、苦痛が少なくてすむ。楽になる。
平家(13C前)六「もしやたすかり給ふと、筧の水をまかせたれば」
蓼喰ふ虫(1928‐29)〈谷崎潤一郎〉七「此方も大きに助かる訳だ」
④ (「杖(つえ)にたすかる」の形で) 杖にすがる。杖を支えとする。
※玉塵抄(1563)一八「藜のあかざの杖にたすかってあるく老人の心ぞ」
[補注]平安期の俗語で、主に男子の会話や語り物などで使用された。

たすかり【助・扶】

〘名〙 (動詞「たすかる(助)」の連用形名詞化) たすかること。救われること。救い。
塵袋(1264‐88頃)九「念仏一返をもとなへて、きかせたらは後世のたすかりとも」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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