塵袋(読み)チリブクロ

デジタル大辞泉 「塵袋」の意味・読み・例文・類語

ちりぶくろ【塵袋】

鎌倉時代事典。11巻。著者未詳。文永弘安年間(1264~1288)の成立事物起源天象以下22項に分け、問答体で記したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「塵袋」の意味・読み・例文・類語

ちりぶくろ【塵袋】

  1. 鎌倉中期の辞書。一一巻。著者不詳(釈良胤とも)。文永・弘安(一二六四‐八八)頃の成立。事物の起源六二〇条を天象・神祇などの部門別に分類し、問答体で示したもの。後に二〇一か条が「壒嚢鈔(あいのうしょう)」と合体して「塵添壒嚢抄」となった。

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百科事典マイペディア 「塵袋」の意味・わかりやすい解説

塵袋【ちりぶくろ】

鎌倉後期の類書,11巻。文永・弘安(1264年―1288年)ころの成立と見られる。編者一説に釈良胤とされるが,不明。事物の起源,語義・語源,字訓の由来などを問答形式で説明した,百科事典的な書物。620条あまりの項目が,天象・神祇・諸国・内裏・地儀・植物・草・鳥・獣・虫・人倫・人躰・人事・仏事・宝貨衣服管弦雑事・飲食・員数・本説・禁忌・詞字・畳字の24の部に分類され収められている。説明は《風土記》《和名類聚抄》など多くの文献を参照して比較的穏当であり,俗語東国方言やアクセントの記述を含むなど,語学資料としても注目される。後の《【あい】嚢抄》《塵添【あい】嚢抄》や《下学集》《節用集》などに影響を与えた。

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改訂新版 世界大百科事典 「塵袋」の意味・わかりやすい解説

塵袋 (ちりぶくろ)

鎌倉時代後期,文永~弘安(1264-88)ころの成立といわれる書。11巻。観勝寺の釈良胤(号,大円)の著かというが不明。和漢の故事620条について起源,語源,由来などを文献を引いて考証する。天象・神祇・諸国・内裏(巻一),地儀・植物(巻二),草・鳥(巻三),獣・虫(巻四),人倫(巻五),人体・人事(巻六),仏事・宝貨・衣服・管絃(巻七),雑物(巻八),飲食・員数・本説・禁忌(巻九),詞字(巻十),畳字(巻十一)の24部から成る。のち,本書の中から選択された201ヵ条が《壒囊鈔(あいのうしよう)》に添加され,《塵添(じんてん)壒囊抄》となった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「塵袋」の意味・わかりやすい解説

塵袋
ちりぶくろ

鎌倉時代中期の分類百科事典。 11巻。編者は不明であるが,真言宗の僧侶が文永~弘安年間 (1264~88) に編んだものと推定される。先行の百科事典,字書などの分類意識を受け,24部門に分けているが,本説・禁忌の部門のように独自のものもある。問答体の平易な文章で説明を加え,漢籍や『日本書紀』『万葉集』などを出典として引用するが,物語類の引用は少い。『あい嚢抄 (あいのうしょう) 』と合わさって『塵添 (じんてん) あい嚢抄』に発展し,さらに大部の中世の教養,生活百科事典に成長した。一説では,『あい嚢抄』の編者と伝えられた京都観勝寺僧大円 (1211~91) が編したものともいう。

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世界大百科事典(旧版)内の塵袋の言及

【百科事典】より

… 中世に入って,武家や庶民のあいだにもさまざまな知識が普及しはじめた。鎌倉時代中期に作られた《塵袋(ちりぶくろ)》11巻は,和漢の古典や仏教に始まり日常生活にかかわるものまで,620の項目をとりあげ,それらの起源,典拠,語源などを平易な問答体で記述し,24部門にまとめている。室町時代に入ると,前代の人々の知恵袋であった《塵袋》にならって《壒囊鈔(あいのうしよう)》15巻が作られた。…

※「塵袋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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