日本大百科全書(ニッポニカ) 「動産金融」の意味・わかりやすい解説
動産金融
どうさんきんゆう
商品や設備機械などの動産を担保とする融資のこと。不動産金融に対比される。動産に担保権を設定する方法としては、動産質、動産抵当などがあるが、質権は目的物の占有を移すことを要するので、貸付先が営業用に使用する商品、設備機械などを対象とするのには適さない。このため、動産担保の方式としては抵当権設定が一般的で、各根拠法により自動車抵当、航空機抵当、建設機械抵当、農業用動産抵当(耕作、養畜、養蚕、水産などの経営に用いられる動産を目的とする抵当権であるが、この抵当権者は農業協同組合など特定金融機関に限られている)などが認められている。このように、動産抵当の対象は特定物件に限られ、また減価が速いので、不動産抵当ほどは多く用いられない。なお、通常の工場の機械設備は、土地や建物とともに、財団を組成されて不動産担保の対象となるのが普通である。
[井上 裕]