化学辞典 第2版 「化学吸着」の解説
化学吸着
カガクキュウチャク
chemisorption
固体表面とこれに接する均一相内の分子との化学的結合によって生じる吸着.化学吸着では,吸着分子内の結合の切断や二重結合の開裂と,これに続く表面原子との間の新しい結合生成,あるいは吸着分子,固体の空準位への電子移動が行われるものと考えられる.したがって,吸着分子と表面との組合せは選択的であり,吸着は単分子層を越えない.吸着結合のエネルギーが大きいため,吸着分子の解離などによるエネルギー損失を差し引いても吸着による発熱は大きく,50~500 kJ mol-1 の値を示す.吸着系によっては,活性化エネルギーを必要とする活性化吸着となる.この場合,吸着速度は物理吸着よりいちじるしく遅いが,高温となるにつれて速度は増大する.単純な分子について,吸着エネルギーが原子価結合法あるいは分子軌道法を用いた量子化学的計算で近似的に求められている.また,触媒反応の初期過程として,適度の強さの化学吸着を生じることが必要であると考えられている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報