活性化エネルギー(読み)かっせいかえねるぎー(英語表記)activation energy

日本大百科全書(ニッポニカ) 「活性化エネルギー」の意味・わかりやすい解説

活性化エネルギー
かっせいかえねるぎー
activation energy

一つの化学反応が原系から生成系へ移るためには、途中に活性化状態(活性系。ここで活性錯合体が生成する)とよばれるもっともエネルギーの高い状態を経なければならないと考え、反応の原系から出発してこの活性系をつくるために必要なエネルギーを活性化エネルギーという。実験からこの活性化エネルギーの値を求めるのにはアレニウスの式を用いる。

  kAexp(-Ea/RT)
この式は、反応速度定数kと反応温度T(絶対温度)との関係を与えるものであってEaが活性化エネルギーである。通常kの対数と温度の逆数との間の直線関係の勾配(こうばい)から活性化エネルギーEaが得られる(Aは定数で頻度因子とよばれ、R気体定数)。こうして求められた活性化エネルギーを見かけの活性化エネルギーという。いくつかの素反応(これ以上分けることのできない反応)からなる複合反応の場合、この見かけの活性化エネルギーは、素反応の活性化エネルギー(真の活性化エネルギー)に比べて、通常、内容が複雑になる。化学反応以外の、拡散などの輸送現象、その他の物理的変化にも同じような考え方が適用され、活性化エネルギーが求められる。

[戸田源治郎・中原勝儼]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「活性化エネルギー」の意味・わかりやすい解説

活性化エネルギー
かっせいかエネルギー
activation energy

物質が1つの状態から他の状態に変化する場合,途中の段階ポテンシャルエネルギーの高い状態をこえなければならない。このポテンシャルエネルギーの山と初めの状態の最低ポテンシャルエネルギーとの差を活性化エネルギーという。化学反応だけでなく,固体,液体中の粒子移動,すなわち拡散現象などにも重要である。一般に活性化エネルギーが大きいほど,変化の速度は小さい

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