朝日日本歴史人物事典 「北庭筑波」の解説
北庭筑波
生年:天保13(1842)
明治期の写真家。本姓は伊井。通称孝之助。江戸日本橋呉服町の油問屋に生まれる。幼少期より好奇心旺盛で,写真術に興味を抱き,内田九一,横山松三郎,清水東谷らと親交を持ち,やがて明治4(1871)年,浅沼藤吉を動かして写真材料商を開業させたのに始まり,自らも浅草で写真館を営む。明治7年深沢要橘と写真雑誌『脱影夜話』を創刊,日本における写真ジャーナリズムの先駆をなした。その交遊の広さから,写真業のみならず画家や文士らとの親交も厚く,日本の写真文化の基盤を築くのに大きな功績を残した。
(平木収)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報