北桜村(読み)きたざくらむら

日本歴史地名大系 「北桜村」の解説

北桜村
きたざくらむら

[現在地名]野洲町北桜

三上みかみ山の東側にあり、南は大山おおやま川を境に南桜村。条里遺構は確認できない。本命ほんみよう寺馬頭観音を信仰した善司・権司の兄弟の子孫が南北両桜に分れ住んだという伝承がある(弘化四年成立「本命寺縁起」観音講保管文書)。北佐久良・北佐倉・蓬莱ほうらい村ともいった。文亀二年(一五〇二)の三上山売帳(御上神社文書)には北佐久良衆のほかホウライ衆の名がみられ、三上古跡図(同社蔵)には「北佐久良、昔ハ山添村ト云」との補記がある。永正六年(一五〇九)一一月一九日付の北佐久良惣庄納帳(大谷文書)、および天文一〇年(一五四一)一一月一四日付の北佐久良宮納帳(同文書)が残され、その細目には公事米・段銭・矢の代が計上されている。蓬莱村の名は三上社で使用する焙烙をはじめ皿・土鍋などの素焼土器を生産する職業集団蓬莱衆が居住したことにちなむといい(慶長三年三月一五日「北桜蓬莱衆留書」同文書)、北東あま山山麓天山あまやま村の住人が徐々に当地に移住、蓬莱村(北佐久良村)を形成していったともいう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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