北筑雑藁(読み)ほくちくざつこう

日本歴史地名大系 「北筑雑藁」の解説

北筑雑藁
ほくちくざつこう

一冊 真名部(真辺)仲庵著

成立 延宝二年

解説 久留米藩最初の漢文体の地誌。久留米城下から御井・御原・山本・竹野・生葉・三潴・上妻・下妻山門郡の順で、「邦内ノ山川・名地、故事、郷俗ノ凡ソ嘗テ目染耳濡スル所」を書き綴っている。取上げた項目が少ないため、のちに本書を底本として「筑後地鑑」や「筑後誌略」「筑後志」が編纂され、しだいに充実した内容の地誌が編纂された。著者の仲庵(のちの藤井懶斎)は医学を岡本玄冶に、儒学を山崎闇斎に学んだ京都の人。二五歳で久留米藩に招請され(禄高は三〇〇石)、藩医に任ぜられ、藩士への儒学教育にも携わった。中村易張(潜斎)跋文によれば、本書は延宝二年に仲庵が久留米を去る際「北筑雑藁」という書名を付けて「郷人」に与えたもので、仲庵を宮ノ陣の舟渡場まで送ってその行為を見ていた易張が翌三年に写本を入手し、「国ノ為ニ微意ヲ其間ニ寓スル者、最モ親切ナリ」と感動し、跋文を書いて世に送り出した。

活字本 昭和四年刊「筑後地誌叢書」。同書は昭和五四年に復刻。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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