茨城県西部の市。2006年1月旧下妻市が千代川(ちよかわ)村を編入して成立した。人口4万4987(2010)。
下妻市中北部の旧市。1954年市制。人口3万6895(2005)。鬼怒川東岸に位置し,西部には台地が広がる。東部の小貝川水系の沖積低地は,《万葉集》に〈鳥羽の淡海(おうみ)〉と詠まれた湖の跡で,稲作地域である。市域南部の台地に位置する中心市街は明治以来,県の行政機関が設置されて県西部の行政中心となり,自由民権運動の拠点ともなった。明治中期,県政の争点となった鉄道誘致に当たり,土浦~下妻~古河の路線計画が不成功に終わり,以後,鬼怒川水運の衰退も加わって県西部の経済中心は下館へ移行した。大正に入り常総鉄道(現,関東鉄道)の開通はあったが,下館市(現,筑西市),水海道(みつかいどう)市(現,常総市)の市勢に押されていた。現在も農業を主とし,施設園芸によるキュウリ,トマトの生産が盛んで,特産にナシがある。一方,昭和40年代から工業化も進み,金属製品,電気機器工業が活発になっている。
執筆者:中川 浩一
地名の初見は《和名抄》常陸国新治郡12郷の一つの〈下真(しもつま)〉。この地からは平安期に桓武平氏大掾氏流の下妻氏,鎌倉初期には藤原秀郷系小山氏流下妻氏,ついで清和源氏頼政流の下間氏が発祥した。1340年(興国1・暦応3)下妻政泰は北畠親房に応じて大宝城に拠って戦ったが,43年落城して戦死した。戦国期から多賀谷氏の城下で,織豊期重経の代に6万石の城下町として整備されたが,1601年(慶長6)改易となった。その後05~09年徳川頼房10万石,15年(元和1)松平忠昌3万石,16年松平(久松)定綱3万石と領主は変わり,19年廃藩。1712年(正徳2)井上正長が1万石を受封し,下妻に陣屋を置き明治維新に至る。多賀谷氏の建設した城下町は近世になってから城廻,西当郷,南当郷,東当郷の4ヵ村となり,陣屋町とともに在郷町的な性格をおび,とくに城廻村はわずか村高321石余であるのに戸数は本百姓295,水呑91,人口は男1139人,女530人に達している。
執筆者:所 理喜夫
下妻市南部の旧村。旧結城郡所属。人口9540(2005)。中央を鬼怒川,東境を小貝川が南流し,東半部が低地,西半部が台地となる。中心集落の宗道(そうどう)は明治時代まで鬼怒川水運の要地で,下館,筑波一帯の物資の集散地として栄えた。かつては桑の栽培が盛んであったが,現在は米作と野菜生産が中心となっている。日本オートスポーツセンターの筑波サーキットがある。関東鉄道常総線,国道294号線が通じる。
執筆者:千葉 立也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
茨城県西部にある市。1954年(昭和29)下妻町が大宝(だいほう)、騰波ノ江(とばのえ)、上妻(かみつま)、総上(ふさかみ)、豊加美(とよかみ)、高道祖(たかさい)の6村を編入して市制施行。2006年(平成18)結城(ゆうき)郡千代川村(ちよかわむら)を編入。鬼怒(きぬ)川と小貝(こかい)川の間にあり、真壁(まかべ)台地と旧大宝沼、砂沼(さぬま)などの沼地や低地をもつ。関東鉄道常総線、国道125号、294号が通じる。古く下真郷(しもつまごう)、下津真荘(しもつましょう)といい、常陸国(ひたちのくに)新治(にいはり)郡に属し、下総国(しもうさのくに)との国境にあった。南北朝時代は大宝(だいほう)城に拠(よ)った下妻氏、のち多賀谷(たがや)氏が下妻城を築城。近世初期に一時は徳川頼房(よりふさ)(水戸徳川家)が封ぜられ、のち下妻藩(井上氏)の小城下町となった。明治初期には自由民権運動の中心地であった。農業が主でナシ栽培と養豚が盛ん。伝統工芸の結城紬(ゆうきつむぎ)生産地帯の南端を占める。アルミサッシ、秤(はかり)などの金属機械工業や食肉加工業なども立地し、つくば下妻工業団地がある。旧跡が多く大宝八幡神社本殿(国指定重要文化財)と大宝城跡(国指定史跡)がある。また、詩人横瀬夜雨(よこせやう)の生家があり、景勝地砂沼はプール(砂沼サンビーチ)、野球場などのスポーツ施設や遊歩道などが整備された県立砂沼広域公園となっている。松皮せんべいは名産品として有名。面積80.88平方キロメートル、人口4万2521(2020)。
[櫻井明俊]
『『下妻市史』(1979・下妻市)』
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