(読み)い

精選版 日本国語大辞典 「匜」の意味・読み・例文・類語

い【匜】

  1. 〘 名詞 〙 湯、水を注ぐのに用いる道具容器中空の柄をつけ、水の出口とする。ひさげ。半挿(はんぞう)。〔十巻本和名抄(934頃)〕 〔春秋左伝‐僖公二三年〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「匜」の意味・わかりやすい解説



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中国古代の礼器一つで,水差しのこと。一端に樋状の注口があり,反対側には取っ手のついた楕円状容器。おもに青銅でつくられた(→中国銅器)。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【青銅器】より

…これが殷後期で,中国青銅器製作の最初の頂点である。器の種類として,祭祀に使う最も貴重な酒とされた黒キビの酒(秬鬯(きよちよう))を入れる有肩尊,それに香りをつける香草(鬱(うつ))の煮汁を入れておく中型のつぼ(壺(こ)),つる付きの小ぶりのつぼ(卣(ゆう)),両者を混ぜて注ぐための水さし形の容器(匜(い),盉(か),その香りつきの酒(鬱鬯(うつちよう))を入れておく蓋付きの箱形容器(方彝(ほうい)),その酒用かと思われる蓋付きの杯(觶(し)),その酒を汲むためのひしゃく(枓(と))などがある。この香草の香りのついた酒は祖先の霊にささげ,また高貴な賓客に供するもので,霊力にあふれた貴重な酒であった。…

【(■1)】より

…ただし,〈延喜主計寮式〉に見えるは容量5升の須恵器で,〈つちたらえ(〈土手洗〉の義)〉の訓がついているから,広口で浅い器形かもしれない。また〈延喜造酒司式〉では〈はそう〉に〈匜〉の字をあてているが,このほうは酒の容器であり,陶匜の口をつくる料として篦竹(のだけ)を計上しているので,考古学用語としてのに近い器形を連想することができる。須恵器【小林 行雄】。…

※「匜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」