(読み)ヒ

デジタル大辞泉 「匪」の意味・読み・例文・類語

ひ【匪】[漢字項目]

[音]ヒ(呉)(漢)
悪者。「匪賊匪徒団匪
(「」と通用)…ではない。「蹇蹇匪躬けんけんひきゅう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「匪」の読み・字形・画数・意味


10画

[字音]
[字訓] はこ・あらず・かの

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は非(ひ)。非は比(ひしつ)(すきぐし)でその歯の密なるもの。〔説文〕十二下に「、竹(ちくけふ)に似たり」とあり、竹で編んだ目の細かい籠の類。字はまたに作る。〔孟子、文公下〕に「厥(そ)の玄を匪(はこ)にす」とあり、玄黄とは織物をいう。また非と通じ否定詞、彼と通じ指示詞に用いる。

[訓義]
1. はこ、かたみ。
2. あらず、なし。
3. かの、かれ。
4. 斐(ひ)と通じ、あやあるさま。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕匪 アラズ・マフ(コト)・スヂナガシ・ナシ・カノ・ユルナリ・ナイガシロ・ワカツ 〔立〕匪マコト・(ウ)ツハモノ・タケノウツハモノ・ナクス・ナイガシロ・ナカシ・タケキ・ワカツ・ナシ・スケ・アラズ・ユルナリ

[声系]
〔説文〕に匪声として一字を収める。は匪の繁文。〔説文〕五上を「車(しやれい)(車の塵除け)なり」とするのは、別の一義である。

[語系]
匪・非piuiは同声。(微)miui、無miua、靡miai、(亡)・罔miuang、未・勿miutなどみな否定の語に用いる。(斐)phiui、彼piaiも声近く、通用する。語彙は非字条参照。

[熟語]
匪彝匪解匪躬・匪匪荒匪遑・匪親匪石匪席・匪賊匪団・匪徒匪党・匪薄匪頒匪匪匪僻・匪目匪流匪類匪劣・匪話
[下接語]
拳匪賊匪・団匪・土匪・髪匪

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【会党】より

…会も党も“なかま”の意味で,もとは単に会といったが,清末に孫文ら革命党が合作を働きかけていらい,会党と連用するようになった。権力の側からいえば,反体制秘密結社のメンバーはなべて〈匪〉であるが,〈匪〉は宗教的迷信を結合紐帯とする〈教匪〉と,宗教をもたぬかあるいは主要な要素としない〈会匪〉とに大別され,後者が会党である。前近代には白蓮教などほとんど〈教匪〉一色だったのにたいし,近代に会党が簇出(そうしゆつ)したのは時代の一特色なのである。…

※「匪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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