マフ(読み)まふ(その他表記)muff

翻訳|muff

デジタル大辞泉 「マフ」の意味・読み・例文・類語

マフ(muff)

毛皮毛織物などを円筒状に作った防寒具両端から手を入れて暖める。主に女性が用いる。 冬》

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「マフ」の意味・読み・例文・類語

マフ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] muff )[ 異表記 ] マッフ 左右から手を入れて寒さを防ぐ、円筒形服飾品。毛皮、ビロード、絹製などで、装飾的なものが多い。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「裁縫〈略〉第二年後期〈略〉女児ケップ 女児マフ」(出典:風俗画報‐一七七号(1898)和洋裁縫女学院)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マフ」の意味・わかりやすい解説

マフ
まふ
muff

主として婦人が手を暖めるために、その両端より手を差し込んで用いる筒状のもの。毛皮、毛織物、羽毛、ビロード、絹製のものに、刺しゅうやビーズ、レース、リボンなどを飾ったもの。15世紀のイタリアに出現し、当初は上流階級の人々の間で用いられたが、16世紀中期のフランスで一般に普及し始め、17、8世紀には全盛をみ、1790年代までは男性にも用いられた。これは保温のためよりも威厳を添えるためのものだった。17世紀初期には小形のものを片手で粋(いき)に持っていたのが、後半になると大形化し、胴のベルトからつるすようになった。女子も、アクセサリーとして年齢、階級、季節を問わずに用いていた。貴族のマフは毛皮や絹製だったが、庶民のものは粗末だった。18世紀には、小さなショルダー・ケープとそろいにすることが流行した。大きさは、両手がやっと入るものから、肘(ひじ)まですっぽり入るものまであり、形も円筒形、楕円(だえん)筒形、樽(たる)形などがあったが、19世紀には概して小形化し、1880年代までにはエレガントなものになった。現在ではパーティーなどで毛皮、ビロード、絹製のものなどがアクセサリーとして、また、厳寒地では毛皮や毛織地のものが防寒用として用いられている。

[田村芳子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「マフ」の意味・わかりやすい解説

マフ
muff

手の保護,防寒のために用いる両端の開いた円筒形の服飾品。ベルベット,毛皮などで作られる。15世紀にイタリアにあらわれ,その後,ヨーロッパ各地に普及したといわれる。初期のものは絹製で,ベルトに吊るしていた。17世紀には大きなマフが流行したが,18世紀になると小型になった。フランス革命までは男女ともに用いたが,後に女性専用のものとなった。おもに毛皮で作られたが,刺繡(ししゆう)やリボンで飾ったり,パッドを入れてふくらませたりした。19世紀には,ショールやケープ,ハンドバッグとともに外出の際の必携品となった。その後もおしゃれな女性の間で用いられたが,今日ではほとんど見られなくなった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マフ」の意味・わかりやすい解説

マフ
muff

筒形の両側から左右の手を入れるようになっている装飾を兼ねた防寒具。普通はオーバーコート地などの厚い布地や毛皮でつくり,ハンドバッグ代りに内側に小物入れをつけることもある。 16世紀後半のフランスで男女ともに愛用され,19世紀にも大流行したが,今日ではほとんど使われない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「マフ」の意味・わかりやすい解説

マフ

外出中,手を暖めるために用いる筒型のアクセサリー。ほとんど毛皮で作られるが,シールやビロードも用いられる。16世紀末から18世紀にかけて華美なものが作られ,男性も外出に用いた。19世紀以後は女性と子どものものになり,現在はほとんど用いられていない。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android