国指定史跡ガイド 「医光寺庭園」の解説
いこうじていえん【医光寺庭園】
島根県益田市染羽町にある庭園。医光寺の前身である崇観寺が創建されたのは南北朝期の1363年(貞治2・正平18)である。境内にある庭園は、雪舟が築庭したといわれ、雪舟は、1479年(文明11)ごろ、益田城主益田氏の知遇を得て、寺にとどまり、のちに第5代住職となったと伝えられる。室町時代の特徴を残す池泉観賞半回遊式の庭園は、裏山の龍蔵山を背景にして、書院前から鶴をかたどった池が広がり、池の中央には亀島が浮かんでいる。亀島には三尊石(さんぞんせき)を配して蓬莱(ほうらい)山を表し、左手の丘に須弥山(しゅみせん)石を置き、下には枯れ滝の石組みが配されている。山の斜面を利用して階段状にツツジの植え込みが並び、枝垂れ桜が配されている。武家様式が採り入れられ、数ある雪舟庭園の中でも名園といわれる。1928年(昭和3)、国の史跡および名勝に指定された。徒歩約10分のところに、雪舟庭園で知られる万福寺がある。JR山陰本線益田駅から石見交通バス「医光寺」下車、徒歩すぐ。