日本大百科全書(ニッポニカ) 「十六武蔵」の意味・わかりやすい解説
十六武蔵
じゅうろくむさし
盤面に親石1個、子石16個を使用して2人で争うゲーム。十六六指(むさし)、十六目石(むさし)とも書く。 の正方形の中央に親石を置き、周囲の16の線の交差点に子石を置く。親から子と交互に1桁(けた)ずつ石を動かし、親が縦、横、斜めに子石に挟まれるように子石の間に入れば両方の子石をとることができ、子石が4個以下となると親の勝ちとなる。親が牛部屋といわれる の三角形の中に追い詰められて動けなくなると「雪隠(せっちん)詰め」といって子の勝ちとなる。この遊びは、中国の唐の時代にあった「馬城(まさし)」という子供の遊びから変化したものといわれ、わが国では平安時代から室町時代にかけて流行した。江戸時代の寛保(かんぽう)年間(1741~44)のころから親石に「武蔵坊弁慶」の絵を描いたものが使われるようになり、「十六武蔵」の字があてられるようになった。明治のころまでは広く行われていたが、現在は知る人も少なくなってしまった。
[倉茂貞助]