南ア新憲法(読み)なんあしんけんぽう(英語表記)South Africa's New Constitution

日本大百科全書(ニッポニカ) 「南ア新憲法」の意味・わかりやすい解説

南ア新憲法
なんあしんけんぽう
South Africa's New Constitution

1996年5月、南アフリカ共和国の制憲議会で採択された憲法。新憲法は、白人政権下で93年末に策定された暫定憲法にかわるもので、民主主義と社会正義、基本的人権の尊重をうたい、強い大統領制と州の自治権も認めた内容。新憲法案は与党最大勢力のアフリカ民族会議ANC)が起草したが、旧白人与党の国民党(NP)と教育、財産権、労働権の3点で対立両者が妥協する形で採択となった。しかしANCと敵対関係にあるズールー族主体の第三党インカタ自由党(IFP)は、ANCとNP中心の制憲論議に反発し、採決の投票をボイコット。またNPは新憲法採択の翌日、ANCとの連立政権からの離脱を発表した。さらに、憲法裁判所は、地方政府の権限が不十分などとして新憲法草案を制憲議会に差し戻し修正ののち、96年12月、これを認可。マンデラ大統領が署名して公布、97年2月に発効した。97年1月から99年5月にかけ段階的に施行された。

[奥野保男]

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