小松左京(読み)コマツサキョウ

デジタル大辞泉 「小松左京」の意味・読み・例文・類語

こまつ‐さきょう〔‐サキヤウ〕【小松左京】

[1931~2011]小説家。大阪の生まれ。本名、実。業界紙記者などを経て、SF作家としてデビューミリオンセラーとなった「日本沈没」で日本推理作家協会賞受賞。他に「日本アパッチ族」「継ぐのは誰か?」「結晶星団」「さよならジュピター」「首都消失」など。

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共同通信ニュース用語解説 「小松左京」の解説

小松左京

小松左京こまつ・さきょう 31年大阪市生まれ。幼少期に兵庫県西宮市に転居し、終戦前後は県立第一神戸中学(現神戸高校)に通った。62年に作家デビュー。「日本沈没」は400万部を超える大ベストセラーに。主な著書に「復活の日」「首都消失」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「小松左京」の意味・わかりやすい解説

小松左京
こまつさきょう
(1931―2011)

SF作家。大阪生まれ。京都大学文学部を卒業後、業界誌、時事漫才の台本作家などを経て、1962年(昭和37)からSF短編を発表。処女長編『日本アパッチ族』(1964)は鉄を食う新人種の誕生と彼らによる革命をユーモラスな筆致で描き出世作となる。以後、旺盛(おうせい)な筆力で破滅テーマの『復活の日』(1964)、超能力スパイを主題にした『エスパイ』(1965)、10億年の時空という雄大なスケールで展開する過去改造計画を描く『果しなき流れの果に』(1966)などを発表して創作SF界のリーダーの一人になった。代表作『日本沈没』(1973)は日本推理作家協会賞を受賞し、英訳されて海外でも反響をよんだ。1985年(昭和60)『首都消失』で日本SF大賞受賞。そのほか、『こちらニッポン』『時空道中膝栗毛』(ともに1977)、『さよならジュピター』上下(1982)、『虚無回廊』1~3(1987、2000)、『時也空地球道行(ときやそらちきゅうのみちゆき)』(1988)など。ノンフィクションに『黄河 中国文明の旅』(1986)、『ボルガ大紀行』(1987)、『巨大プロジェクト動く――私の「万博・花博」顛末(てんまつ)記』(1994)、『小松左京の大震災'95――この私たちの体験を風化させないために』(1996)、『紀元3000年へ挑む科学・技術・人・知性――地球紀日本の先端技術』(1999)、『威風堂々うかれ昭和史』(2001)などがある。1995年(平成7)~1996年には全5巻『小松左京コレクション』が、1998年『小松左京ショートショート全集』が刊行された。2001年1月、小松左京の古稀(こき)を記念して、季刊の個人雑誌『小松左京マガジン』を創刊した。創設同人に落語家の桂米朝(かつらべいちょう)、国立民族学博物館館長の石毛直道(1937― )、漫画家の萩尾望都(もと)(1949― )など。小松左京の多才ぶりはよく知られるところだが、前記『さよならジュピター』映画化(1984)にあたっては、原作・脚本・制作・総監督の四役をこなし、1970年の「大阪万博」と1990年の「国際花と緑の博覧会」の企画運営にも尽力した。

[厚木 淳]

『『地図の思想』(1965・講談社)』『『探検の思想』(1966・講談社)』『『地球を考える』1・2(1972・新潮社)』『『黄河 中国文明の旅』(1986・徳間書店)』『『ボルガ大紀行』(1987・徳間書店)』『『こちら関西――もうひとつの情報発信基地・大阪』前後編(1994、1995・文芸春秋)』『『巨大プロジェクト動く――私の「万博・花博」顛末記』(1994・広済堂出版)』『『小松左京の大震災'95――この私たちの体験を風化させないために』(1996・毎日新聞社)』『『小松左京コレクション』全5巻(1995~1996・ジャストシステム)』『『紀元3000年へ挑む科学・技術・人・知性――地球紀日本の先端技術』(1999・東京書籍)』『『虚無回廊』1~2(ハルキ文庫)『虚無回廊』3(2000・角川春樹事務所)』『『威風堂々うかれ昭和史』(2001・中央公論新社)』『『幻の小松左京=モリ・ミノル漫画全集』全4巻(2002・小学館)』『『神への長い道』『御先祖様万歳』『時の顔』『蟻の園』『五月の晴れた日に』『ある生き物の記録』『鏡の中の世界』(ハヤカワ文庫)』『『空飛ぶ窓』『華やかな兵器』(文春文庫)』『『戦争はなかった』『時間エージェント』『夢からの脱走』『物体O』『アダムの裔』『地球になった男』(新潮文庫)』『『日本沈没』(光文社文庫)』『『日本アパッチ族』『青い宇宙の冒険』『宇宙漂流』『ゴエモンのニッポン日記』『果しなき流れの果に』『牙の時代』『復活の日』『見えないものの影』『継ぐのは誰か?』『エスパイ』『犯罪ショーへの招待』『人肉料理』『明日泥棒』『見知らぬ明日』(角川文庫)』『『さよならジュピター』『結晶星団』『こちらニッポン』『題未定』『首都消失』(ハルキ文庫)』『『やぶれかぶれ青春記』『遷都』『時空道中膝栗毛(前の巻)』『時空道中膝栗毛(後の巻) 時也空地球道行』『小松左京ショートショート全集』全3巻(ケイブンシャ文庫)』『梅棹忠夫著『知的市民と博物館――梅棹忠夫対談集』(1991・平凡社)』『三浦浩著『記憶の中の青春――小説・京大作家集団』(1993・朝日新聞社)』『鶴見俊輔著『社会とは何だろうか――鶴見俊輔座談』(1996・晶文社)』『吉原敦子著『あの本にもう一度――ベストセラーとその著者たち』(1996・文芸春秋)』『水口洋治著『おはなし大阪文学史』(1998・竹林館)』『笠井潔著『機械じかけの夢――私的SF作家論』(1999・筑摩書房)』『巽孝之編『日本SF論争史』(2000・勁草書房)』『加藤秀俊著『文芸の社会学』(PHP文庫)』『巽孝之著『「2001年宇宙の旅」講義』(平凡社新書)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「小松左京」の意味・わかりやすい解説

小松左京
こまつさきょう

[生]1931.1.28. 大阪,大阪
[没]2011.7.26. 大阪,箕面
小説家。本名小松實。京都大学イタリア文学科在学中,高橋和巳らと同人誌を発行,卒業後は経済誌記者や土木工事の現場監督など多くの職業を体験した。1959年頃からニュース漫才の台本なども書き始め,1962年『SFマガジン』の創刊号に書いた『地には平和を』が作家としての第一作となった。「もし戦争が終わっていなかったら」選びえたかもしれない未来,歴史を問いかけたこの作品が,作家としての基盤となり,以後,広範な科学知識と巧みな構成力で日本の SF小説の先駆者となった。廃虚で鉄を食べる一族を登場させた『日本アパッチ族』(1964),ウイルス人類を破滅させる『復活の日』(1964),人類存亡の可能性を探った『継ぐのは誰か?』(1972)など相次いで話題作を発表した。なかでも地殻変動によって日本列島が沈没して日本民族が国を失うという『日本沈没』(1973)はミリオンセラーとなったばかりか映画にもなり,社会的なブームを巻き起こした。いずれの作品にも時代を先取りして俯瞰する文明論的な視点が貫かれており,その後も国際SFシンポジウムを組織するなど,国際的な活動を続けた。1974年日本推理作家協会賞,1985年日本SF大賞を受賞。

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百科事典マイペディア 「小松左京」の意味・わかりやすい解説

小松左京【こまつさきょう】

小説家,SF作家。本名小松実。大阪市西区出身。旧制第三高等学校から京都大学文学部イタリア文学科に進む。京大時代に日本共産党に入党するが,離党。1962年《SFマガジン》(早川書房)に作品が掲載され,作家としてデビュー。《復活の日》《日本アパッチ族》など話題作を次々と発表し,草創期の日本SF界の中心的作家となる。1973年の《日本沈没》(光文社)は,上下巻合わせて三百数十万部の大ベストセラーとなった。創作のみならず該博な知識と独創的なアイディアで,科学論,文明論,日本文化論など幅広いジャンルにわたって旺盛な執筆活動を続け,多様な領域の学者と積極的に交流した。60年代半ばに始まる民族学者梅棹忠夫との交流は有名である。1970年の大阪万博でテーマ館サブ・プロデューサー,90年の〈国際花と緑の博覧会〉で総合プロデューサーを務めた。2001年に同人誌《小松左京マガジン》を創刊,最晩年まで刊行を続けたが,遺稿で,2011年3月の東日本大震災・福島原発事故について,〈原発事故は人災〉と断言し,大災害に対応するために多様な専門家を分野横断的に結集する総合防災学会の創設を提言している。
→関連項目高橋和巳

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「小松左京」の解説

小松左京 こまつ-さきょう

1931-2011 昭和後期-平成時代の作家。
昭和6年1月28日生まれ。経済誌記者,漫才台本作家などをへて,昭和37年「地には平和を」でSF作家としてデビュー。48年「日本沈没」がミリオンセラーとなり,日本推理作家協会賞。平成2年開催の「国際花と緑の博覧会」の総合プロデューサーをつとめた。文明批評でも知られた。平成23年7月26日死去。80歳。大阪出身。京大卒。本名は実。作品はほかに「日本アパッチ族」「復活の日」など。

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367日誕生日大事典 「小松左京」の解説

小松 左京 (こまつ さきょう)

生年月日:1931年1月28日
昭和時代;平成時代のSF作家

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