南比企窯址群(読み)みなみひきようしぐん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「南比企窯址群」の意味・わかりやすい解説

南比企窯址群
みなみひきようしぐん

埼玉県の比企郡南部丘陵の各地に所在する奈良・平安時代の窯業遺跡。その中心は鳩山(はとやま)町で、同町内の字名「須江(すえ)」は往時須恵器(すえき)つくりのさまを今日に伝える地名である。窯業製品主力は瓦(かわら)と須恵器で、瓦は武蔵(むさし)国分寺創建時(天平(てんぴょう)年間)のものが主として焼かれ、各所に数口の窯(かま)を構築した瓦屋(がおく)(瓦工場)が設けられた。さらに日常食器類を主体とした須恵器生産の窯も設けられ、古代武蔵国の窯業生産地帯として栄えた。

大川 清]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「南比企窯址群」の意味・わかりやすい解説

南比企窯址群
みなみひきようしぐん

埼玉県比企郡にある窯址群。遺跡の範囲は広く,比企丘陵の谷ごとに多くの支群をもち,窯址は 1000をこえると考えられている。小規模な調査はしばしば行われていたが,1980年代にゴルフ場建設などの事前調査として大規模な調査が行われた。窯業の最盛期は7~9世紀とされ,東国一の窯場として須恵器を生産していた。瓦を焼いた窯も含まれており,瓦窯は武蔵国分寺建設との関係も注目されている。

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