南浦文之墓(読み)なんぼぶんしのはか

国指定史跡ガイド 「南浦文之墓」の解説

なんぼぶんしのはか【南浦文之墓】


鹿児島県姶良(あいら)市加治木町にある墓所。加治木城跡山麓に建つ安国寺境内に所在する儒僧、南浦文之の墓。墳墓は安国寺歴代住職墓の一角にあり、1914年(大正3)に修築され、玉垣内に墓碑を据え、そのわきには漢学者西村時彦の撰文を刻んだ石碑が建てられている。南浦文之は、1555年(弘治1)に日向の串間に生まれ、6歳の時に真言宗延命寺の天沢和尚に師事し、13歳で串間の禅宗龍源寺に入り、桂庵禅師の孫弟子に当たる一翁に師事。15歳の時京都の臨済宗東福寺に上がり、10年の修行の後、帰郷して龍源寺などの住職を務めた。その学識は島津家16代当主島津義久に認められ、国分の臨済宗正興寺と加治木の安国寺の住職となる。以後、義久、義弘、家久の3代に仕え、儒学を講じる一方、外交や文教の顧問として重要な役割を担った。朱子学にも秀で、『南浦文集』などを著したほか、『四書集注』など漢籍に訓点をほどこし、1620年(元和6)、66歳で亡くなり、加治木の安国寺に葬られた。日本儒学の発展に貢献した人物の墓として、1936年(昭和11)に国の史跡に指定された。JR日豊本線加治木駅から徒歩20分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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