改訂新版 世界大百科事典 「単収縮」の意味・わかりやすい解説
単収縮 (たんしゅうしゅく)
twitch
攣縮(れんしゆく)ともいう。1回の活動電位によっておこる筋肉の速やかな収縮をいう。活動電位を発生する脊椎動物の骨格筋では,その収縮活動の単位とみなすことができる。この単収縮が重なること(加重)によって強縮がおこる。活動電位は全か無かの法則に従うので,個々の骨格筋繊維の単収縮もこの法則に従う。しかし骨格筋全体を電気刺激する場合には,筋繊維により閾値(いきち)が異なるので,骨格筋全体としての単収縮は刺激強度を増すにつれて増大し,全か無かの法則に従わない。無脊椎動物の骨格筋繊維は一般に活動電位を発生せず,したがって全か無かの法則に従う単収縮を示さない。心臓を形成する心筋は,すべての筋繊維が活動電位を発生し,しかも互いに電気的に連絡しているので,全か無かの法則が心臓全体にあてはまる。脊椎動物骨格筋繊維を支配する運動神経を刺激した場合,収縮はまず神経筋接合部ではじまり,ついで筋繊維の長軸にそって活動電位と同じ速度(毎秒数m)で筋繊維両端に向かって伝わっていく。
→筋収縮
執筆者:杉 晴夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報