改訂新版 世界大百科事典 「神経筋接合部」の意味・わかりやすい解説
神経筋接合部 (しんけいきんせつごうぶ)
neuromuscular junction
NMJと略称。運動神経繊維が筋繊維と接合する部分をいう。脊椎動物の骨格筋では,この部分を終板end-plateともいう。運動神経繊維の末端は髄鞘がなくなり,枝分れして筋繊維表面の細胞膜と約500Åの距離で相対している。この部分の筋細胞膜には多数のひだがある。神経筋接合部はシナプスの一種とみなすことができ,運動神経繊維のインパルスはここを通過して筋繊維に伝えられるが,筋繊維のインパルスが神経繊維に伝わることはない。これは,神経筋接合部における興奮の伝達が神経末端からインパルスによって分泌される伝達物質をなかだちとしていることによる。脊椎動物の終板における伝達物質はアセチルコリンであるが,節足動物の神経筋接合部の伝達物質はグルタミン酸である。神経筋接合部におけるインパルスの伝わりは種々の薬物により阻害される。有名な矢毒であるクラーレもその一つである。
→筋収縮
執筆者:杉 晴夫
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