翻訳|threshold
ある作用によって生体に反応がおこる場合、反応をおこすのに必要なその作用の最小の強度をいう。また、限界値、または「しきいち」ともいわれる。反応が死である場合その致死作用の限界を致死閾という。刺激作用については刺激閾、感覚刺激についてはそれぞれの感覚の種によって視覚閾、聴覚閾などとよぶ。このうち、音や光のような、ある作用の強さの差が刺激効果となって、ある反応や感覚をおこす場合、その差の限界を識別閾という。これに対して、量的な差を問題としない一般の閾値に関するものは単純閾という。刺激の効果は、強度のほかに、その持続時間と、強度の変化率によって変化する。また興奮性膜(活動電位を発生する細胞の細胞膜)においては、膜電位が一定の値にまで脱分極すると活動電位が発生するが、その値を閾値という。
[村上 彰]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…〈しきい〉ともいう。通常,反応を起こすのに最小必要限の刺激の強さをいい,その値を閾値という。閾以下の強さの刺激(閾下刺激)では反応は起こらない。…
…刺激の効果は,働きの上昇(興奮)あるいは低下(抑制)として現れる。効果を現すに足りる最小の刺激の強さを閾値(いきち)と呼び,その逆数をその器官の刺激されやすさ,あるいは興奮しやすさの指標とする。ふつうは刺激を強くすると効果が大きくなるが,ある限度以上強くしてもはや効果の増大がみられぬとき,これを最大刺激という。…
※「閾値」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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