筋収縮(きんしゅうしゅく)の一形態をいう。筋あるいは筋を支配する神経に1回刺激を加えると、筋はそれに応じてただ1回収縮し、ついで弛緩(しかん)する。このような収縮は単収縮とよばれるが、それに対して、適当な間隔をおいて、筋、または筋への神経を連続刺激すると、各単収縮は融合・加重し、持続の長い大きな収縮が得られる。このような収縮を強縮とよぶ。強縮の最大張力は単収縮の数倍に達し、刺激が続く限り、収縮状態も持続する。
刺激頻度が少なく、各個の単収縮が完全に融合せず、収縮曲線が動揺するものを不完全強縮、単収縮が完全に融合し、動揺のないものを完全強縮とよぶ。完全強縮を得るために必要な最少の刺激頻度を、臨界融合頻度といい、カエル骨格筋の場合は、15℃では20ヘルツ以上で刺激する必要がある。
生体内での骨格筋や平滑筋の収縮は、通常強縮であるのに対し、心筋は強縮をおこさず、つねに単収縮を行う。
[真島英信]
…この白筋と赤筋は,それぞれ相動性α運動ニューロンと持続性α運動ニューロンとによって支配されている。運動神経を通って短い間隔でつぎつぎにインパルスが神経筋終板に到着すると,単収縮がつぎつぎと融合し加重され,連続した強い収縮が引き起こされることになるが,これを強縮という(図1)。この型の収縮は単収縮の数倍以上の張力を発生し,通常の運動はすべてこの型の収縮によってなされる。…
…活動電位は〈全か無かの法則〉(ある一定以上の強さの刺激が与えられたとき初めて反応がおこり,それ以下ではまったく反応がみられず,また逆にそれ以上はいかに強い刺激を与えても反応は変わらない,という法則)にしたがうので,単収縮も全か無かの法則にしたがう。活動電位が短期間にくり返し発生すると,単収縮は加重して大きな持続的収縮すなわち強縮がおこる。われわれの身体の運動はほとんどすべてが骨格筋の強縮によるものである(図1)。…
※「強縮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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