化学辞典 第2版 「単結晶育成」の解説
単結晶育成
タンケッショウイクセイ
single crystal growth
単結晶を十分に大きく育成すること.固体材料の基礎的特性の研究,あるいは工学的応用に必要とされる.この場合,その結晶全体の結晶学的方位がそろっていることと,多結晶体にみられる粒界が存在しないことが要件であるが,格子欠陥,転位,微量不純物の存在は避けることができない.育成方法として,液相,気相,固相いずれからも試みられているが,結晶の性質,要求される特性に応じて,それぞれ一長一短がある.液相からの育成はさらに出発原料に融液を選ぶか,溶液を選ぶかにより大別され,前者には単純固体法,ブリッジマン法,結晶引上げ法,ベルヌーイ法,浮遊帯法,EFG法があり,後者には直接反応法,非水溶液法,水熱合成法,フラックス法がある.気相法には単純蒸発法,気相反応法がある.前者には単純物質で化学反応を伴わない場合で真空蒸着,スパッターリング,動的あるいは静的昇華法,後者には直接反応法,熱分解法,不均化反応法,還元法がある.固相法は多結晶の金属から単結晶を育成させるような場合に用いられ,ひずみ-焼なまし法がもっとも基本的である.[別用語参照]結晶成長,気相成長法
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報