水熱合成(読み)スイネツゴウセイ

デジタル大辞泉 「水熱合成」の意味・読み・例文・類語

すいねつ‐ごうせい〔‐ガフセイ〕【水熱合成】

高温高圧溶媒の下で化学反応を行ったり、結晶を成長させたりすること。常温常圧の水に溶けにくい物質合成などに利用される。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「水熱合成」の解説

水熱合成
スイネツゴウセイ
hydrothermal synthesis

高温・高圧の水の存在下に物質を反応させて新物質を合成したり,結晶をより大きく成長させたりする方法.高温・高圧下での水の性質についてはまだ不明な点が多いが,常温付近のそれとはいちじるしく異なっていることは確かであり,常温で難溶性のSiO2,Al2O3などの多くの酸化物がかなり溶解したり,変成岩にみられるようにいちじるしい鉱化作用をもっている.これらの性質を応用して,
(1)不完全結晶の改良や鉄粉などの不純物の除去(水熱処理),
(2)カオリナイトベーマイト白雲母などに含まれる構造水をフッ化水溶液中で処理して,OHを F と交換する鉱物改質(水熱変成)や,
(3)アルカリあるいは塩類の希薄水溶液と適当な培養物を入れたオートクレーブ内の低温部に種結晶をつり下げ,温度差による溶解度の差を利用して,水晶,ルビー,緑柱石,オルトフェライトなどの単結晶の育成(水熱育成),
が行われている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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