却りて(読み)カエリテ

デジタル大辞泉 「却りて」の意味・読み・例文・類語

かえり‐て〔かへり‐〕【却りて】

[副]反対に。逆に。かえって。
「いかにいとほしげならむと侮りしを、―心恥づかしきまでなむ見ゆる」〈玉鬘

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精選版 日本国語大辞典 「却りて」の意味・読み・例文・類語

かえり‐てかへり‥【却て・反て】

  1. 〘 副詞 〙 ( 動詞「かえる(反)」の連用形に助詞「て」の付いてできたもの。漢文の「却」「還」などの訓読に当てられ、副詞として用いられるようになった。「は」を伴うことがある ) ある事柄、もしくはその事柄から生じた予期、予想、判断などに対して、それに反し矛盾する事柄を対置する場合に用いる。
  2. それに反して。逆に。あべこべに。かえって。
    1. [初出の実例]「国家(みかど)此の時に望(み)たまひて壱伎・対馬に多に伏(かくれ)兵を置きて至(まういた)らむを俟(ま)ちて殺たまへ。翻(カヘリテ)な詐(あざむ)かれたまひそ」(出典日本書紀(720)敏達一二年是歳(前田本訓))
  3. 予期に反して。案に相違して。かえって。
    1. [初出の実例]「手もすまに植ゑし萩にや還(かへりて)は見れども飽かず心尽くさむ」(出典:万葉集(8C後)八・一六三三)
    2. 「おほん心さし深かりける御中をそむきて〈略〉出家し給へることかへりては仏のせめそふべきことなるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夢浮橋)

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