家庭医学館 「卵巣内膜症性嚢胞」の解説
らんそうないまくしょうせいのうほうらんそうちょこれーとのうほう【卵巣内膜症性嚢胞(卵巣チョコレート嚢胞) Endometrial Cyst of the Ovary(Chocolate Cyst)】
卵巣に、子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)(「子宮内膜症」)と同様の子宮内膜組織が発生して、月経と同様の出血をおこし、血液が卵巣にたまって、嚢胞となったものです。
その内容物がチョコレートのようにみえることから、卵巣チョコレート嚢胞とも呼ばれています。
近年、増加の傾向にあり、食事の欧米化や、生涯妊娠および分娩(ぶんべん)回数の減少が、原因の1つと考えられています。
[症状]
子宮内膜症と同じように、月経痛、月経時の頻尿(ひんにょう)、排便痛、腰痛などが現われ、さらに性交痛もよくみられる症状です。しかし、なかには、これらの症状のまったくない人もいます。
また、不妊症の原因となる場合もあります。
[治療]
子宮内膜症と同様に、手術療法やホルモン療法、あるいはこの2つの併用療法が行なわれます。
嚢胞が大きい場合には手術が必要で、多くは併用療法が用いられます。
近年、腹腔鏡下(ふくくうきょうか)での手術も行なわれており、また、腟からの超音波エコー下で、嚢胞内へアルコールを注入する方法なども試みられています。
病変が卵巣内に限られている場合は、病変部を摘出すれば予後は良好です。
ただし、病変が広い範囲に広がっている場合は、下腹部痛や下腹部不快感などがなかなか消失しませんので、これらの症状が現われたら、早めに婦人科を受診することが必要です。