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子宮内膜症 しきゅうないまくしょう endometriosis

翻訳|endometriosis

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

子宮内膜症
しきゅうないまくしょう
endometriosis

子宮内膜の組織が子宮内腔以外の組織,臓器に増殖した状態をいう。成熟女性にみられる。子宮体部に好発し,次いで卵巣に発症しやすい。子宮筋内に増殖したものは腺筋症と呼び,子宮筋腫を合併することが多い。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵2015の解説

子宮内膜症

本来、子宮内にある内膜の組織が子宮の内側以外の筋肉層で増殖(内性子宮内膜症)したり、卵巣、卵管、子宮と直腸間、直腸などで増殖(外性子宮内膜症)する病気。特に卵巣内の内膜症では、たまった血液が次第に黒ずんでくるのでチョコレート嚢胞(のうほう)という。性周期に一致して子宮内膜組織の増殖、出血、再生を繰り返すため、月経時や性交時の痛み、月経異常、腰痛、不妊などの障害がある。35〜45歳に多く、近年増えている。

(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年)

子宮内膜症

子宮の内膜、あるいはこれに似た組織が、子宮の内側以外のところにできる病気で、20歳代から閉経までの女性にみられる。子宮内膜症によって子宮内膜や似た組織ができるのは、卵巣、膣(ちつ)、外陰部といった女性器に限らず、直腸、S状結腸、膀胱(ぼうこう)、腹膜など腹腔(ふくくう)内の臓器であることもある。子宮外にできた内膜も月経周期に伴って増殖・剥離(はくり)を繰り返すが、通常の月経のように剥離した組織を排泄(はいせつ)できない臓器にできた場合、他臓器との癒着を起こしたり、卵巣ではチョコレート嚢胞(のうほう)になったりすることもある。
有病率は女性の5~10%に上るとみられ、妊娠・出産経験のない女性に多いこと、不妊症の女性に多いことが知られている。
ほとんどの患者が、激しい月経痛を訴える。また、月経のたびに痛みがだんだんと強くなっていくのが特徴である。その他にも、経血過多や不正出血があったり、できた部位によっては性交痛、排便痛、腰痛などを訴えたりすることもある。病巣の活動は、女性ホルモンエストロゲンの分泌と関係があり、妊娠・出産・授乳期間で月経がない間は症状がみられないことが多い。
診断は、内診、画像(超音波やMRI)、血液検査などによって行われる。治療法としては、腹腔鏡を使うか、あるいは開腹して病巣を切除する手術療法と、ホルモン剤によって病巣の活動を抑える薬物療法があり、併用することも可能である。進行度や妊娠を希望するかどうかなどを考慮しながら選択することになる。
なぜ子宮内以外のところに子宮内膜ができるのかは、いまのところ分かっていないが、月経時に経血が逆流して起こるのではないかという説が有力である。
なお、卵巣のチョコレート嚢胞は、卵巣に子宮内膜ができて卵巣がチョコレート状になり、排卵障害などが起こるもので、0.5~1%に卵巣がんが発見されたという報告がある。
最近では、女性アイドルグループJuice=Juiceメンバー金澤朋子が子宮内膜症であることを公表したほか、これまでも歌手の大黒摩季がこの病気で2010年に無期限活動休止を発表したことがあった。
不妊の原因にもなりうるが、治療しながら妊娠・出産に至るケースも多い。松浦亜弥石田ひかりは、子宮内膜症に苦しんだことを公表した後、いずれも出産している。

(石川れい子 ライター/2016年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

子宮内膜症

子宮の内側にある子宮内膜細胞が、卵巣や腹膜など子宮の内側以外の場所で増殖し、炎症を起こす病気。月経痛のほか、性交痛、月経時以外の腹痛などの症状がある。不妊につながる場合もある。子宮内膜細胞は月経周期に合わせて増殖するため、生涯の月経回数が多くなった現代女性に増えている。

(2012-06-07 朝日新聞 朝刊 石川全県 2地方)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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デジタル大辞泉の解説

しきゅうないまく‐しょう〔‐シヤウ〕【子宮内膜症】

子宮内膜の組織が、子宮腔以外の部位に生じる病気。月経周期に一致して増殖・出血・再生を繰り返し、障害を起こす。

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百科事典マイペディアの解説

子宮内膜症【しきゅうないまくしょう】

子宮内膜に類似した組織が,子宮内腔以外に発生する病気。主に子宮筋膜層,卵巣などの骨盤内臓器,腟や外陰などの性器に発生し,まれに肺やリンパ節に発生することもある。
→関連項目月経過多子宮後屈症

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家庭医学館の解説

しきゅうないまくしょう【子宮内膜症 Endometriosis】

◎内膜組織が異常な部位に発生する
[どんな病気か]
[症状]
[原因]
[検査と診断]
[治療]

[どんな病気か]
 子宮の内側は、子宮内膜という重要な粘膜(ねんまく)によっておおわれています。子宮内膜は妊娠が成立しない場合、卵巣(らんそう)から分泌(ぶんぴつ)される女性ホルモンのはたらきによって、一定の性周期ではがれ、月経をおこします。この子宮内膜や子宮内膜に類似した組織が、子宮内腔(しきゅうないくう)以外の部位に発生してくることがあり、これを子宮内膜症といいます。
 これらの組織は、本来の子宮内膜と同様に女性ホルモンの影響を受けるので、子宮の内側以外の部位に発生しても、性周期に応じて月経のように出血をおこすと考えられています。
 このように子宮内膜症は、女性ホルモンの作用を受けて増殖、進行するため、月経のある女性だけにおこる病気で、思春期前や妊娠中、閉経後の女性にはほとんどみられません。また、この病気は良性で、がんのように生命を脅(おびや)かすようなことはありません。
●発生しやすい部位
 発生しやすい部位は、子宮とそれ以外に大別されます。子宮の場合は筋層内に発生するもので、子宮腺筋症(しきゅうせんきんしょう)といわれ、子宮内膜症の約50%を占めています。
 子宮以外の臓器に発生する場合は、腹膜内(ふくまくない)(おなかの中)と腹膜外の2つに分かれます。前者は骨盤内(こつばんない)に発生することがもっとも多いのですが、腹膜自体に発生することもあります。後者は、腟(ちつ)、外陰(がいいん)などの性器のほかに、肺やリンパ節に発生することもあります。
 子宮内膜症がおこると、その部位に腫瘤(しゅりゅう)(こぶ)ができたり、周囲の組織と癒着(ゆちゃく)したりするため、痛みをおこします。非常に進行した場合は、骨盤内の臓器すべてが癒着し、一かたまりになってしまうこともあります。この癒着の程度により、病気の進行状況が3~4段階に分類されています。

[症状]
 月経困難症(げっけいこんなんしょう)は、子宮腺筋症および子宮内膜症の約70%にみられるたいせつな症状です。それまではなんでもなかったのに、最終の分娩(ぶんべん)や妊娠中絶後しばらくたって、下腹部痛や腰痛が生じたりします。回を重ねるごとに増強していくのが特徴的で、このような場合は婦人科を受診することをお勧めします。
 子宮以外にできた子宮内膜症では、腰痛、下腹部痛や排便痛、排尿痛などをともなうことがあり、月経時以外にもこれらの症状を訴えるようになることがあります。
 このほか、いろいろな臓器の癒着にともない、性交痛が現われたり不妊症になることもあります。ときには、卵巣(らんそう)に発生した子宮内膜症(卵巣子宮内膜症)の腫瘤が破裂して腹膜炎をおこしたり、腸管が癒着して腸閉塞ちょうへいそく)をおこすなどして重態となり、進行卵巣がんのような症状を示し、緊急処置が必要となる場合もあります。

[原因]
 子宮内膜症がおこる原因としては、2通りの説があります。子宮内膜症の組織発生を、本来の子宮内膜以外の組織に求めた説と、子宮内膜組織に求めた説です。
 前者では、腹腔内(ふくくうない)の漿膜(しょうまく)がなんらかの原因で子宮内膜組織に変化するというもので、近年なお有力な説です。一方、後者は、子宮内膜が直接筋層に入り込んで子宮腺筋症をおこしたり、月経血の逆流現象により、子宮内膜が他の部位に転移生着すると考える説で、やはり多数の支持者があります。

[検査と診断]
 腟や外陰部などの見てわかる部位に発生した子宮内膜症以外は、確実に診断することはむずかしいものです。年齢、症状、内診所見などを総合的に検討して診断しますが、子宮内膜症を確実に診断できる検査法はなく、子宮内膜症を疑って開腹手術を行ない、初めて確実に診断できることも多いのです。
 超音波検査 簡単で苦痛もなく、くり返し検査できる長所をもった性能のよい超音波断層機器が一般に普及しており、補助診断法として有用です。
 とくに腟式超音波の進歩は著しく、卵巣子宮内膜症や子宮腺筋症などに高い診断的意義があります。
 CT、MRI検査 CTおよびMRIも一般病院での普及率が高くなってきており、これらの所見は超音波像に似ていますが、形態的な異常を描出する能力はさらにすぐれています。
 直視下診断法 子宮内膜症の診断は、原則として腹腔鏡(ふくくうきょう)または開腹手術によって診断すべきとされています。腹腔鏡による病態診断は、子宮や卵巣の形態、色調の異常や癒着の状況を内視鏡により拡大観察するもので、やはり高い診断的意義があります。
 血清学的検査 卵巣がんの抗原である血液中のCA125(腫瘍(しゅよう)マーカー(「腫瘍マーカー」))は、本来、卵巣がんや子宮内膜がんの場合に高値を示すとされています。しかし今日では、これらのがん以外の婦人科疾患でも検討され、とくに子宮内膜症や子宮腺筋症で高値を示すことが注目され、補助診断法の1つとして用いられています。

[治療]
 治療は、手術療法とホルモン剤による薬物治療の2つに大きく分けられます。
 治療方針を決定する因子としては、患者さんの年齢、これまでの分娩歴、自覚症状、進行の程度(病気の範囲と癒着の程度)があげられます。
 子宮内膜症は比較的若い人に発生しやすく、不妊症をともないやすいので、治療法の主体は、特有の痛みなど、自覚症状の除去とともに、妊娠率を上げることにあり、病気の進行具合と将来子どもを希望するか否かという点で、年齢を考慮しながら保存的な治療法か根治的な治療法かを選択します。
 最近、とくに進行していない場合にはホルモン療法を先行させることが多いので、病歴の慎重な検討と診察を必ず受けて、担当の医師と相談し、治療方針を決めていけばよいでしょう。
●手術療法
 将来子どもを希望する場合の手術療法では、子宮内膜症の病変部だけを摘除するのが原則ですが、手術後も病変部が残っている場合は、3~6か月の術後ホルモン療法を行なうと、妊娠する可能性が高いようです。とくに子どもを希望しない場合、子宮、両方の卵巣およびその他の病気の部位すべてを取り除く根治的な手術を行ないます。
 いずれの場合も、必要があれば、手術を行ないやすくするように、手術前3~4か月間のホルモン治療が勧められます。
●ホルモン療法
 ホルモン療法は、ホルモン剤を直接的あるいは間接的に病巣に作用させ、無月経状態にして病気の勢いをとめようとするものです。
 女性ホルモンのうちの1つであるプロゲステロンを使用し、子宮内膜症の組織を縮小させる方法や、プロゲステロンに少量のエストロゲンを加えて使用する方法があります。
 しばしば行なわれるのは、避妊に用いる経口避妊薬の使用で、子宮内膜症の組織の増殖が抑えられます。
 この場合は、20~21日間内服した後、月経のような出血があってから再び内服を開始する方法と、薬の内服量を徐々に増やしていき、月経様出血をまったくとめてしまう2つの方法があります。後者は、妊娠時と同じようなホルモン環境をつくり出そうとする偽妊娠療法(ぎにんしんりょうほう)と呼ばれるものです。
 一方、今日では男性ホルモンの誘導体を用い、4~6か月服用して、更年期様の無月経状態にもちこむ治療法がさかんに用いられ、現在ではホルモン療法の主役となっています。
 しかし、ホルモン療法には副作用の問題があり、際限なく続けられず、また、この療法を行なっている間は絶対に妊娠しません。さらにホルモン療法は、肝臓および心臓疾患、内分泌系疾患などを含めた慢性疾患がある場合には行なえないので、注意が必要です。

出典|小学館
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世界大百科事典 第2版の解説

しきゅうないまくしょう【子宮内膜症 endometriosis】

子宮内膜ないし内膜様組織が,本来あるべき子宮腔内面以外の部位で異所性に拡大増殖する場合をいう。好発部位としては子宮が最も多く,子宮筋層内で増殖する内性子宮内膜症(子宮腺筋症adenomyosis uteriともいう)と,卵巣,卵管,ダグラス窩(か),腹膜,S状結腸と直腸,卵管,子宮の靱帯(じんたい),直腸腔中隔,膀胱および膀胱腹膜などに増殖する外性子宮内膜症とがある。子宮内膜症とくに外性子宮内膜症が婦人の病気として特異な点は,良性の非腫瘍性の病気であるにもかかわらず,隣接組織を浸潤・破壊するとともに,リンパ性に浸潤して他の組織を侵し,繊維症,強い癒着をひき起こす結果,卵巣破壊,卵管変形などの骨盤内臓器障害を起こし,不妊症などの原因となることである。

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大辞林 第三版の解説

しきゅうないまくしょう【子宮内膜症】

子宮内膜組織が本来の部位以外で発育増殖するもの。卵巣をはじめ子宮周辺の臓器に多くみられる。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

子宮内膜症
しきゅうないまくしょう

子宮内膜組織または類似組織が、本来あるべき子宮腔(くう)以外の部位(異所)に生じ増殖する疾患。そのため異所性子宮内膜症ともよばれる。進行性の病変であり、原因不明の部分もあるが、卵巣から分泌される性ステロイドホルモンであるエストロゲンが強く関与して増殖する。おもな症状は月経痛で、ほかに排卵期などのエストロゲン増加や病変の進行につれて、下腹部痛や腰痛、頭痛あるいは排便時痛のほか、性交痛などを伴う。卵巣の腫瘍(しゅよう)に似た病変である子宮内膜症性嚢胞(のうほう)(チョコレート嚢胞)やダグラス窩(か)病変などもみられ、習慣性流産や不育症の原因ともなり、不妊となることもある。
 疼痛(とうつう)に対する治療としては、痛みを軽減する消炎薬投与などの対症療法を行う。病変に対しては、薬物療法としてダナゾールやGnRHアゴニスト(gonadotropin releasing hormone agonist)を投与する偽閉経療法(卵巣を刺激するホルモンの分泌を抑制し、疑似的に閉経した状態にする)を行い、それでも改善が望めない場合は手術により病変部を切除する。[編集部]

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世界大百科事典内の子宮内膜症の言及

【代償月経】より

…代償月経として胃,腸,肺,乳腺,皮膚,臍窩(さいか),外耳道,眼瞼など多様な部位からの出血が報告されている。また代償月経のうち一部は子宮内膜症あるいは子宮腔と連絡をもつ瘻孔(ろうこう)によるものと推定されている。鼻からの代償月経の治療としては,出血する粘膜部を焼灼することが有効といわれる。…

※「子宮内膜症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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