原語別外来語集(読み)げんごべつがいらいごしゅう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

原語別外来語集
げんごべつがいらいごしゅう

日本独特の取り入れ方をしたものや、ことばの点で興味深い問題を含む外来語の見本を集めて、原語別に配列し、解説を加えた。当て字のある場合はそれを併記した。
 【 】内は、日本語に入ったと推定される時期を示す。昭和20年までを【昭和】、それ以後を【現代】で表示した。[石綿敏雄]
〔中国語〕
キャタツ 〔脚榻〕
 踏み台。「脚立」とも書く。脚は「健脚」「馬脚」のようにキャクと読むのが普通。古代中国語では語尾にkの音があったが、近世中国語でこれが消失し、日本でもそれを反映してキャの読み方が生まれた。「行脚(あんぎゃ)」「脚絆(きゃはん)」も同様。【室町時代】
クーニャン 〔姑娘〕
 日本では、若い娘の意。中国語もその意味で使用するが、「伯母・叔母」など別な用法もある。【昭和】
コタツ 〔火燵〕
 漢字「火」は古くはカと読まれたが、近世音を取り入れたのがコである。「和(ワ)」が「和尚(ヲシャウ)」となるのも類例。母音の部分がa→oとなる点が共通。【室町時代】
ハンテン 〔飯店〕
 ファンテンともいう。日本では中華料理店の名前に用いられる。中国では料理店のことをいうこともあるが、普通はホテルをさす。【現代】
ビン 〔瓶〕
 この漢字は漢音ヘイ。「瓶子」は昔、日本では徳利(とくり)を意味し、「へいじ」と読んだ。宋(そう)・元(げん)のころ、北方の外敵に押された中国では、知識人が江南に移り、江南系の近代の発音が日本に入るようになった。その発音がビンである。「鈴(レイ)」のリン、「亭(テイ)」のチンも類例。ローマ字で書くとei→inの変化が共通である。「鉄瓶」「土瓶」など。【鎌倉時代】
メンツ 〔面子〕
 漢字「子」は古くはシと読んだ。「椅子」も平安時代には「いし」といっていた。中国語発音の変化を受けてスと読むようになったのは日本の中世のこと。「椅子」「金子」「扇子」「様子」などではスと読む。現代では「面子(メンツ)」、「餃子(チャオズ)」といくつかの読み方がある。なお、ギョウザという読み方は中国東北の方言であるという。【昭和】
〔ロシア語〕
イクラ ikra
 海産食品。ロシア語では「魚の卵」の意。【明治】
インテリ intelligentsiya
 知識階級。ロシア語ではインテリゲンチャ。インテリはその略。英語ではインテレクチュアルintellectual(s)という。【大正】
ウォツカ vodka
 ロシア語ワダーvoda(水)から派生したことば。日本ではウォッカということが少なくない。ロシア語の発音にはウォトカ、ウォツカというほうが近い。「ツ」が「ッ」になった理由は、日本語で以前、「ツ」と「ッ」の表記上の区別をせず、すべて大きく書く習慣があったため混同したのである。「カムチャツカ」「トロツキー」などにも同様の現象があり、「カムチャッカ」という人は意外に多い。【明治】
カンパ kampaniya
 ロシア語でカンパニヤといい、政治的な運動の意。日本では「資金カンパ」などと使う。【昭和】
コルホーズ kolhoz
 集団農場。ロシア語のモスクワ風の発音ではカルホース。カレクチーブノエ・ハジャーイストバkollektivnoe hozyaystvo(集団の生産施設、とくに農場)のそれぞれの始めのほうをとってつないでつくったことば。日本語で東京大学を東大、生活協同組合を生協などと略すのとよく似た略語の作り方。【現代】
コンビナート kombinat
 工場結合。ロシア語にも日本語と同じ用法もあるが、もともと「組合せ」の意味に関連があり、初・中・高校の結合の意味もある。【現代】
セイウチ sivuch
 北海の動物の一種。「海象」「海馬」。ロシア語ではシブーチという。この語源は新村出(しんむらいずる)によって明らかにされた。沿海漁民の接触で伝えられたものであろう。【江戸時代】
ノルマ norma
 日本では労働基準量の意。ロシア語にもこの意味もあるが、普通は広く「規準」「標準」の意で用いる。戦後ソ連に抑留された人たちが伝えたことば。【現代】
〔古代インド語(サンスクリット)〕
サラ ala
 漢訳「沙羅」。釈尊入寂(にゅうじゃく)のときにそばに生えていた木であるが、もともと家(サンスクリットでala)をつくる木。後者はインド・ゲルマン語のつながりでドイツ語のザールSaal(家の広間)などと同じ起源の語である。日本では平家物語の「沙羅双樹の花の色……」などに使われた。【平安時代】
シャバ sah
 サンスクリットでは、仏教用語で「世界」「人間界」。これが中国を経て(漢訳「娑婆」)日本に入った。サハsahの語根はサフsahで「堪え忍ぶ」の意。ギリシア語のイスヘインiskheinは同語源で「忍ぶ、自制する」の意。【平安時代】
シャリ arra
 漢訳「舎利」。サンスクリットでは「肉体、体のソリッドな部分、(複数)骨」。仏教では仏舎利の意味に使用した。【平安時代】
セツナ kshana
 サンスクリットで「非常に短い時間」の意。漢訳「刹那」が日本語化。【平安時代】
ソトバ stpa
 日本語では「卒塔婆(そとうば)」「塔婆」などという。サンスクリットでは「一致」がもとで、仏教用語で「仏塔」の意。サンスクリットの語根ストゥープstupと同語源の語がギリシア語にもある。【鎌倉時代】
ダビ dha
 サンスクリットでは「焼くこと」。漢訳「荼毘」が日本語化。「荼毘に付す」などという。インド・ゲルマン語のつながりで古代ゲルマン語に「灯心」を意味する類語があった。【平安時代】
ナム nama
 サンスクリットでは「服従」「賛美」の意。中国では音訳「南無」、意訳して「帰依(きえ)」。「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」などという。意味はすこしずれているがドイツ語のネーメンnehmen(取る)などは同語源である。【平安時代】
ネハン nirvna
 サンスクリットで「幸福」。仏教用語で「解脱(げだつ)の境地」。漢訳「涅槃」を通して日本語化。【平安時代】
ハンニャ praja
 サンスクリットでは「理性」「理解」「知恵」。漢訳「般若」を通して日本語化。俗語で「鬼女」に転化。【平安時代】
ボサツ bodhisattva
 サンスクリットで「真の悟りを得たブッディスト」。漢訳「菩提薩」の略「菩薩」を通して日本語化。【平安時代】
ヨーガ yoga
 サンスクリットでは「用法」「適用」「方法」「思考の方法」。そこから「心の統一を図る修行法」という意味が生まれ、漢訳「瑜伽」(ゆが)という形で日本に入った。【鎌倉時代】
 現代では健康体操のような形で取り入れられ、形も「ヨガ」となった。【現代】
〔英 語〕
アイデア idea
 日本では「巧みな思い付き」というニュアンスで用いられるが、英語では「考え」「考え方」「理念」などと広い意味で用いられる。外来語イデーはドイツ語から入ったもので、ドイツ語での使い方は英語の使い方に似ているが、日本では哲学、思想用語に限定される。イデーもアイデアもラテン語さらにギリシア語に由来する。【明治】
イメージ image
 英語の発音はイのところにアクセントを置いて、イミジという感じ。綴(つづ)り字に-ageが含まれ、ageはエイジと読むことから類推してイメージという語形が生まれたのである。この種の読み方を綴り字発音という。綴り字発音の類例をあげれば、パーセンテージpercentage(英語の発音はセにアクセントを置いてパセンティジ)、デリケートdelicate(英語の発音はデにアクセントを置いてデルキト)、プライベートprivate(英語の発音はプライのところにアクセントを置いてプライブィト)など。【明治】
カタログ catalog
 漢字で「型録」と書いた。当て字の傑作。【明治】
カード card
 すこし厚手の小紙片。最近は銀行預金カードなどプラスチック製や金属製のもある。トランプも英語ではcardという。病院のカルテはドイツ語、料理のアラカルトのカルトはフランス語、歌ガルタのカルタはポルトガル語であるが、英語のカードとともに、もとはギリシア語のカルテスから出た。【明治】
カバー cover
 英語では「覆うもの」「本の表紙」などをさす。日本では「覆うもの」は英語と共通であるが、表紙をカバーとはいわず、表紙を覆うものをカバーという。英語ではこれをジャケットjacketという。【明治】
カルチャー culture
 文化と訳す。日本では以前は「文化住宅」「文化講座」「文化鍋(なべ)」など使用されたが、最近はカタカナ語で「カルチャー・スクール」「カルチャー・センター」などという言い方が流行している。cultureは語源的には「耕作」「養育」「教養」などを意味するラテン語から出たもので、古代フランス語を経て英語に入った。農場で使うカルチベーターcultivator(邦略カルチ=耕うん機)のように原義のままのものもある。【現代】
ガールフレンド girl friend
 日本では男からみた女の友達をいう。英語では男からみた女の友達を含んで、女からみた女の友達のこともいう。【現代】
クラブ club
 漢字で「倶楽部」と書く。この当て字は日本製。【明治】
サイン sign
 英語では、名詞のとき「徴候」「合図」などの意味で用いる。動詞to signのときには「署名する」の意味があるが、名詞には「署名」の意味がない。したがって、外来語の「サインを求める」のような使い方からsignに「署名」の意味があると思い込むと過ちをおかす。英語で「署名」はシグナチュアsignature、芸能人などのサインはオートグラフautographという使い分けがある。【明治】
サラリーマン salary man
 サラリーマンは和製英語だといわれてきたが、英語でも使われる。しかしオフィスワーカーoffice workerというほうがよい。【大正】
スクランブル scramble
 英語では「何かを大急ぎでする」「不ぞろい、ばらばらでもよいから何かをする」のような使い方を基本とする。日本での「迎撃機の緊急発進」や「スクランブル交差点」はそこから出ている。【現代】
スリッパ slippers
 英語では複数形を使うのが普通。日本のスリッパは室内用つっかけ式のものだが、slippersはそのほかに浅い靴状のものも含まれる。【明治】
セビロ civilian clothes
 明治初期に外国の船員が日本に上陸したとき、船員の制服を一般通常服に着替えた。日本人の「これは何という服か」という問いに答えて、「これはシビリアンクロージス(市民服)だ」といったのを、日本人が「背広」と聞き取ったのが始めであるという。また、ロンドンの仕立屋街セィビル・ローSavil Rowからとする説もある。【明治】
ダース dozen
 鉛筆などを数えるときの単位で12を基準とする。「打」という漢字をあてるのは中国の習慣を取り入れたもの。英語で12はトゥエルブtwelveであるが、ダースのもとになったことばはフランス系である。フランス語では12をドゥーズdouze、約12をドゥーゼーヌdouzaineという。douzaineの古い形がdouzeineで、英語には13世紀のころフランス語から入ってきた。それが近代、dozenに変わったのである。【明治】
タイムリミット time limit
 制限時間の意味があるが、締切りの意味はない。後者は日本独得。【現代】
デッドロック deadlock
 英語のlockは、ロックする、ロッカーなどからわかるように、鍵(かぎ)、動かない状態をいう。日本ではlとrの区別をしないので、lockをロックrock(岩)と取り違えるようになり、そこから「デッドロックに乗り上げる」という表現が生まれた。【昭和】
デノミネーション denomination
 英語には「命名」という意味はあるが、「貨幣の呼称を変え単位を切り下げる」という意味はない。この意味をもつのは、第一次大戦後二度もデノミネーションを行ったソ連のことばデノミナーツィヤである。デノミネーションは形は英語、意味はロシア語を受け継いだもの。【現代】
トランプ trump
 英語では「切り札」の意。日本でいうトランプは英語でカードcardという。【明治】
トレーニング・パンツ training pants
 略してトレパン。日本では体育のとき着るもので、すこし大きくなった子供や成人が着る。アメリカでは、おしめをとるときのトレーニングに使う幼児用のパンツ。【現代】
ナイーブ naive
 日本では「純真」「天真爛漫(らんまん)」のようによい評価のとき使う。英語にも同じ用法があるが、ほかに「下手な」「愚直な」のようなよくない評価の用法もある。【明治】
バイオ bio-
 生物を意味するギリシア語ビオスbiosの複合語形成形の英語読み。バイオロジー(生物学)、バイオニクス(生物工学)、バイオケミストリー(生化学)など。【現代】
パーソナリティー personality
 もとは「人の性格」などの意味。テレビなどのパーソナリティーは英語のテレビジョン・パーソナリティーtelevision personalityの略。【現代】
ビット bit
 機械などで表現される情報の最小単位で、バイナリー・ディジットbinary digit(二進のディジット)の略。バイナリーの始めのbinは、「二つずつ」を意味するラテン語ビニbiniから出ている。このbiniと接頭語コムcomとが結び付いたものが、コンビネーションcombinationであり、二つのものが結合するということである。【現代】
ビルディング building
 日本では洋風高層建築物をいうが、英語では建築物一般をいう。仮の建築物でもbuildingである。つまり、buildされたものがbuildingなのである。このように意味の縮小がおこるのは、日本に洋風高層建築物が建てられたときこの名が取り入れられたからである。ちなみに、フランス語にも英語からbuildingということばが取り入れられているが、これはアメリカ風超高層建築をさす。この意味の縮小にも、日仏両語で同じ仕組みが働いている。【大正】
フェミニスト feminist
 英語のfeministは、女権論を主張し、その運動に熱心な女性をいう。日本では以前は、女性を尊重し、女性に親切な行動をする男性をいったが、近年は英語本来の意味でも用いられるようになった。【昭和】
フォーム form
 ラテン語フォルマforma「形」「形式」に由来する英語formから日本語化した。これに関連することばをあげると、「変える」意味のトランスと結び付いたトランスフォーム、「ふたたび」「……し直す」の意味と結び付いたリフォーム(仕立て直し)、「一つの」「統一された」の意味のユニと結び付いたユニフォーム、接頭語インを伴い、名詞化したインフォメーション(形を与えること、教える内容、情報)などがある。【昭和】
ブーム boom
 英語ではいつも金の動きに関係があるとき使う。日本では金の動きを伴わなくても、流行というほどの意味で使うことがある。【昭和】
プラザ
 町の中央にある広場で、アメリカに移住したスペイン人の町にあるプラサ(スペイン語plaza。英語のプレースplaceにあたることば)がアメリカ英語に取り入れられてプラザとなった。【現代】
ペンション pension
 長期滞在の客に部屋を提供し、朝食などを出す制度。日本ではレジャーで滞在するのが普通。英語ではこの意味ではあまり使わない。フランス語のパンシオンpensionには下宿の意味があるが、都会にあるものをいうのが普通。したがってペンションは、ことばの形は英語系、意味はフランス語系だが、使い方はやはり日本風である。【現代】
ポスト post
 日本では郵便物を投函(とうかん)する箱。英語ではこれをメールボックスmailboxあるいはレターボックスletter boxという。日本でポストというのは、郵便局を英語でポストオフィスpost officeというからであろう。なお、別語源だが「地位」「部署」という意味もある。【昭和】
ホットドック hot dog
 正しくはホットドッグ。日本語では促音の後ろに濁音が続く習慣がないため、ドックと清音に変える傾向がある。ハンドバック、パット、ベットなども同様。【昭和】
マイ my
 英語では一人称の「私の」であるが、日本では人称に関係なく「所有者である自分自身の」の意味になる。英語でいうと“He drives my car.”と“He drives his own car.”の相違である。マイカー、マイホームなどと使う。【現代】
マンション mansion
 英語では普通、一家族で住む大邸宅。日本ではアパートよりすこし高級な集合住宅である。日本のコマーシャリズムでは誇大な名称をつける傾向がある。ただしイギリスでは複数のsをつけて集合住宅をいうことがある。【現代】
ミシン machine
 ミシンというときはsewing machine(縫製機械)の略。machineはこの場合に限ってミシンという。自動車などをいうときはマシンという。【明治】
ヤング young
 日本では「若者」をいう。英語では「若者」「若い」「幼い」などの意。so youngなどというときは「幼い」にあたることがよくある。【現代】
ユニ uni-
 英語では単独で使うことはないが、複合語によく用いられる。ラテン語で1を意味することばがウヌムunumで、その複合語形成形の英語・フランス語読みがユニ。意味は「一つにまとめられた」ということで、ユニオン(統一、同盟)、ユニーク(ただ一つの)、ユニット(単位)などに使われる。【現代】
ヨット yacht
 英語では一般に大型の豪華船をいう。日本のヨットは英語でセールボートsailboatというところ。【明治】
レジャー leisure
 日本では昭和30年代の初めから使われた。戦後の窮乏生活も終わり、これからは余暇関連産業への投資が有望という見込みがたち、投資関係でレジャーストックということばが最初に用いられた。それから独立したのが日本のレジャーで、金をかけて遊ぶ場合に限定されている。英語では金をかけるようなものでなく、文字どおり「余暇」「ひま」の意である。【現代】
〔和製英語(和製複合語)〕
エンスト
 和製英語エンジンストップの省略形。英語ではエンジンフェイラーengine failureという。【昭和】
OL
 以前ビジネスガールやBGとよばれていたが、もっとよい名がないかと女性週刊誌が募集し、選び出されたのがオフィスレディー、略してOL。英語国民は、レディーというとまず貴婦人や王妃を連想するというから、英語の語感ではオフィスレディーはちぐはぐな感じらしい。英語ではオフィスガールoffice girlという。【現代】
ガソリンスタンド
 英語ではガスステーションgas station、フィリングステーションfilling station、サービスステーションservice stationなどという。【大正】
ガードマン
 英語ではguardで、マンはつけない。フラダンス(英語ではfula)、ブレザーコート(英語ではblazer)、レセプションパーティー(英語ではreception)などが類例。フラとだけいったのではわかりにくいので、それはダンスなのだということを付け足していうのである。日本の「能」を英語でノーNohといっただけではわかりにくいので、ノープレイNoh-playというのと同じ構造である。【現代】
シーズンオフ
 英語ではオフシーズンoff-seasonという。ことばの順序が逆になっている。【昭和】
スプリングコート
 英語ではトップコートtopcoatという。日本ではスプリングなどと略すこともある。【明治】
ダイニングキッチン
 英語ではダイネットdinetteという。日本ではDKと略すことがあるが、これも和製英語である。【現代】
ダンプカー
 英語ではダンプトラックdump truckという。英語にもdump carということばはあるが、鉄道貨車の一種で特殊なもの。カーは日本では「大型カーの規制」などのように乗用車にも大型車にも使うが、英語のcarは乗用車が普通。【現代】
バックネット
 英語ではバックストップbackstopという。【昭和】
バトンガール
 英語ではバトントワラーbaton twirlerといい、男のときもある。【現代】
フロントガラス
 アメリカではウィンドシールドwindshieldという。【現代】
ベビーサークル
 英語ではプレイペンplaypenという。【現代】
〔ドイツ語〕
アウフヘーベン Aufheben
 日本では哲学用語で「止揚」の意。ドイツ語では哲学の文献で使われたときはこの意味のこともあるが、普通は「持ち上げる」「拾い上げる」「中止する」「取り消す」などの意で用いる。【昭和】
アルバイト Arbeit
 ドイツ語では「仕事」「労働」など広い意味。英語のワークworkにあたるようなことば。日本では昭和初年に医学などで「研究業績」の意味で使われたが、戦後「副業」の意味で「学生アルバイト」のように使われるようになった。【昭和】
ウラン Uran
 放射性元素の一つで、「ウラン原鉱」などと使う。英語ではユレイニアムuraniumという。日本ではウラニウムということばがあるが、英語をドイツ語風に読んだものである。【現代】
ウレタン Urethan
 化学用語で化合物の一つ。英語にurethaneということばがあるがユレセインと読む。【現代】
エネルギー Energie
 英語ではエナジーenergyという。【明治】
カリスマ Charisma
 超能力。または、大衆を心服させ、指導する能力。マックス・ウェーバーの社会学用語。【現代】
ゲレンデ Gelnde
 日本ではスキー場のことをいうが、ドイツ語では「土地」「地帯」の意味である。もちろん「スキー場」のこともいう。【大正】
ザイル Seil
 日本では登山用具に限定して使うが、ドイツ語では「縄」「綱」「ロープ」などの意。登山用具の縄もSeilである。【昭和】
ゼミナール Seminar
 指導教授を中心につくる研究グループ、研究教育のグループというのがもと。英語のセミナーseminarはドイツの制度を取り入れたものであり、ドイツ語から英語に入ったことばであった。日本ではドイツ語からまず入ったが、その後英語系のセミナーも使われるようになった。【現代】
テーマ Thema
 「主題」の意味で、英語にもシームthemeということばがあるが、外来語に入っていない。日本ではドイツ系のテーマがよく普及している。【明治】
ノイローゼ Neurose
 もと医学用語だったのが一般に広まったもの。【現代】
ビニル Vinyl
 ドイツ語のビニルという語形が外来語の形にもっとも近い。英語はバイヌルvinylというのが普通。【現代】
ビールス Virus
 英語ではバイラスvirusといい、ドイツ語ではビールスVirusというから、ドイツ語が原語であると推定される。ウイルスということもあるが、これはラテン語のウイルスvirusからきたもの。【現代】
ワクチン Vakzin
 予防接種用免疫源。英語ではバクシーンvaccineという。-zinをチンと読むのはドイツ語の特徴である。【昭和】
〔オランダ語〕
エレキ electriciteit
 江戸時代にはエレキテル、エレキなどと略して用いた。平賀源内の実験などで有名。その後電気ということばが普及してエレキは古語になったが、現代に至り、エレキギターということばで復活した。【江戸時代】
カトリック katholiek
 キリスト教旧教派。英語ではカソリックCatholicという。thoをトという発音からオランダ語と考えられる。【江戸時代】
ガラス glas
 江戸時代には「びいどろ」「ぎやまん」といっていたが、幕末期にガラスということばが登場、以来このことばが使用される。英語のglassはグラスという形で用いられ、ウイスキーのコップなどについていう。ただし、ステンドグラス、グラスファイバーなどではガラスをさして用いられる。【江戸時代】
コーヒー koffie
 江戸時代の蘭学者はその名を知っていたが、一般に普及したのは明治になってから。「珈琲」と漢字で書くのは中国から取り入れたもの。【江戸時代】
コレラ cholera
 日本では幕末に第1回の流行があり、多くの死者が出たので、コロリということばも流行した。【江戸時代】
スコップ schop
 スコップはオランダ系で、土を掘るのに用いる。語源的に関係の深い英語系のスクープscoopは、マスコミ関係で特ダネを掘り出すときに用いる。【明治】
ドイツ Duits
 ドイツ語でドイツのことをドイチュラントという。ドイツということばの形は、オランダ語のドイツDuits(ドイツの、ドイツ人)のほうが近い。オランダ語でドイツのことをドイツラントDuitslandという。【江戸時代】
ドンタク zondag
 日曜日は英語ではサンデーSunday、ドイツ語ではゾンタークSonntagというが、オランダ語の標準的な発音ではカタカナで書けばソンダハである。これが日本ではドンタクとなり、いまでも「博多(はかた)どんたく」として残っている。日曜日は休日なので、そのニュアンスも生まれ、土曜日を半分のドンタクということで「半ドン」ということばが使われた。【江戸時代】
ビール bier
 名前は江戸時代から知られているが、明治以後普及した。英語ビヤbeerはビヤホールということばに使われる。【江戸時代】
ピント brandpunt
 オランダ語でブランデンbrandenは「燃やすこと」、ピュントpuntは「点」で、全体として「焦点」。この前の部分を略したのがピント。【江戸時代】
ポンプ pomp
 英語パンプpumpに比べてオランダ語のほうが外来語形に近い。オランダから取り入れた工業器具の一つ。【江戸時代】
マドロス matroos
 オランダ船の船員をいったのが始めであろう。英語ではセーラーsailorがこれにあたる。現在、マドロスパイプということばに残っている。水夫が使っていたパイプである。【江戸時代】
ランドセル ransel
 江戸時代の兵書にランセルとあり、背に負う箱型の物入れとして紹介している。オランダ語では軍用のものなども含んでいるが、日本ではそれは「背嚢(はいのう)」とよんだので、ランドセルは学童用だけのものとなった。【江戸時代】
〔フランス語〕
アベック avec
 フランス語では普通、前置詞「……といっしょに」の意。副詞の用法もある。日本では男女同伴の意に用いる。最近ではこの用法はやや廃れぎみ。「アベック闘争」のような用法もあった。【大正】
アンコール encore
 劇場などで出演者・演奏者に対し終了後拍手をやめず、「もう一度」と望むこと。フランス語では「まだ、なお」などを意味することば。アンコールは語形的にみてフランス語がもとであることは疑う余地がないが、フランス語から直接日本語に入ったのか、英語を経由したのかよくわからない。フランスでは古典音楽のとき、ラテン語を用いてビスbis!という。イギリスではフランス語を借用してencore!という。一般論として外来語はいい意味のことばとして受容されるものなのである。ただし、英米ではencore!はほとんど使わず、むしろイタリア語などでいうブラボーbravo!を使う人が多い。また、フランスでも、シャンソン劇場ではencore!というのが普通である。そういう民衆的な雰囲気の場では古典的なラテン語は使わないのであろう。今のところ、アンコールがどこを通って日本語化したのか、よくわからない。【大正】
カフェ caf
 フランス語には「コーヒー」という意味と「コーヒーを飲ませる店、喫茶店」という意味とある。後者は日本では使い方がずれて、「女給のいる店」になった。その場合はカフェーというのが普通である。前者の意味ではオランダ系のコーヒーということばを使うのが普通だが、フランス式のカフェ・オ・レ(ミルク入りコーヒー)などということばではカフェが使われる。【昭和】
コンクール concours
 日本では音楽・絵画・映画などの競技会をいうが、もとのフランス語ではほかに「合致」「協議」「試験」などの意味でも使われる。【昭和】
デタント dtente
 「緊張緩和」の意。国際間の緊張を緩和するという場合に使用し、アメリカでも旧ソ連でも使った。デは分離・除去の意味であり、タント-tenteはテンションtensionと語義上関係がある。【現代】
バリカン Barriquand
 英語ではヘア・クリッパーズhair clippers、フランス語ではトンドゥーズtondeuseで、バリカンの語源は見当がつけにくかった。金田一京助が東京・本郷の理髪店、喜多床所蔵のバリカンにバリカン・エ・マールBarriquand et Marreと刻印されているのを発見し、バリカンが製造所の名前であったことが判明した。語源研究史上有名な話である。【明治】
メートル mtre
 アメリカでは長さの単位としてフィート、インチなどを使用しているが、ヨーロッパ大陸ではメートルを日常使用している。フランス語で100はサンcent、100分の1はサンチcenti-、そこで1メートルの100分の1はサンチメートルcentimtreである。日本ではセンチメートル(糎)とよぶ。昔の海軍は大砲の大きさなどサンチメートルと正確な言い方をしていた。【明治】
〔イタリア語〕
アレグロ allegro
 音楽用語で「快活に急速なテンポで」の意。イタリアでは音楽専門用語のこともあるが、一般用語として日常使用し、「陽気な」「快活な」「楽しそうな」の意。【大正】
オペラ opera
 日本では音楽用語で歌劇のことであるが、イタリア語では普通「労働」「仕事」「成果」の意味で用いられている。歌劇の意味もあるが、それ以外の意味に使われることが多い。【明治】
スタッカート staccato
 日本では音楽用語で分割奏法。イタリア語では「切る」「切り離す」の意の動詞スタッカーレstaccareの過去分詞。音楽の専門用語のとき、日本と同じ用法がある。【明治】
テンポ tempo
 日本では音楽用語で楽曲進行の速度。イタリア語にも専門用語として特殊な場合、進行の速度の意味で使用するが、普通は「時間」(英語のタイムtime)「季節」「天候」などの広い意味で使用する。【昭和】
メッゾ mezzo
 イタリア語ではメッゾと読むときとメッツォと読むときとある。メッゾのときは「半分」「中位」、メッツォのときは「熟しすぎた」「腐りかけの」の意。だからmezzosopranoはメゾソプラノと読む。【昭和】
〔スペイン語〕
シャボン jabn
 石鹸(せっけん)の意。このことばの語源は従来ポルトガル語のsaboであるといわれてきたが、むしろスペイン語のjabnではないかと考えられる。大阪大学の故前田勇教授と筆者の説である。saboはサバンとなるはず。jabnはいまでこそハボンという感じの発音であるが、輸入当時はxabnと書かれ、シャボンと発音されていたと推定されるからである。【室町時代】
ポンチョ poncho
 南米の衣装。服飾用語として使用する。【現代】
メリヤス medias
 日本では布地の一種類で、織り方に特徴がある。伸び縮みするので「莫大小」とも書く。大小莫(な)しの意。スペイン語ではもとは「中間」の意。ラテン語のメディアが「中間」「媒体」の意味をもち、今日でも使用されているが、それと同系のことばである。ただメリヤスのもとになったことばは、室町末期の南蛮人がはいていた膝(ひざ)までの靴下状の履き物であった。西洋では腰までのものもあったので、mediasはその中間までのものを意味したのである。両足に履いたので、語尾に複数のsがついている。スペイン語mediasのdの音は母音に挟まれると軟らかい感じの発音になるので、メリヤスという語形で取り入れられたのであろう。当時の記録に、スペイン人名のMedinaを「めりな」と書いたものがあるから、mediasがメリヤスとなったのは自然な変化である。このことばは、スペイン語では履き物の一種だが、外来語では布地の種類の意味にかわったのである。【室町時代】
〔ポルトガル語〕
イギリス inglez
 ポルトガル語の発音はイングレス、意味は「イギリスの、イギリス人」。中世末にヨーロッパから日本にきていたポルトガル人が、あとからきたイギリス人を「あれはイギリス人だ」といったのが始めと推定される。当時は「ゑげれす」「いんぎりす」などともいった。「英吉利」という字は中国語がもとであろう。英は中国音yngであり、「英語」「英国」ということばも生まれた。【室町時代】
カピタン capito
 ポルトガル語の意味は「長」、キャプテン。日本では南蛮船の船長。禁教後はオランダ商館長のことをいった。【室町時代】
カリオカ carioca
 リオ・デ・ジャネイロの住民をカリオカ、サン・パウロの住民をパウリスタという。ブラジルのことば。コーヒー店の名などに使用する。【昭和】
バテレン padre
 カトリックの宣教師のこと。ポルトガル語では「父」をパイpai、宣教師をパードレpadreとよぶ(スペイン語では両方ともpadreという)。バテレンはpadreが訛(なま)ったもの。漢字で「伴天連」などと書いた。【室町時代】
パライゾ paraiso
 天国の意。ハライソともいった。英語系の外来語パラダイスparadiseと同語源。【室町時代】
パン po
 英語ではブレッドbreadで、レーズンブレッドなどというときには英語を使うが、普通はパンというポルトガル系のことばを使う。ただしフランスパンというときはパンはフランス語である。パンpain(フランス語)とパンpo(ポルトガル語)はよく似ているが、これはともに祖先がラテン語だからである。当て字は「麺麭」。【室町時代】
ビードロ vidro
 ポルトガル語でガラスのこと。日本ではガラス器具をいう。「びいどろ障子」などもあって珍重された。【室町時代】
ボサ・ノバ boa nova
 ボサは「隆起」、ノバは「新しい」で、「新しい隆起」の意。1960年代にブラジルで生まれた新しいリズムの一つ。アメリカで流行し世界に普及した。【現代】
〔ラテン語〕
ウィタ vita
 ラテン語で「生命」「生活」の意。かつてはウィをヰとも書いたので、森鴎外(おうがい)の『ヰタ・セクスアリス』のヰタはウィタである。セクスアリスは「性の」の意。ラテン語のvi(ウィ)はイタリア語やフランス語でヴィの発音に変わったので、ウィタはイタリア語でビタvita、フランス語でビvieとなった。ウィタは近代科学用語に使用され、ビタミン、ビタカンフルなどのことばをつくっている。【明治】
エゴ ego
 英語のアイI、ドイツ語のイッヒichにあたるラテン語。ラテン語の子孫であるフランス語ではジュje、イタリア語ではイオio、ポルトガル語ではエウeuとなった。一人称から「自己」の意味に使われる。【明治】
カリタス caritas
 ラテン語では「愛情」が普通であるが、カトリック用語では「聖愛」「愛徳」と訳す。英語のチャリティー・ショーのチャリティーcharityはcaritasから出たことば。【明治】
ニヒル nihil
 虚無。ラテン語では名詞であるが、日本では「ニヒルな感じ」のように形容動詞的にも使う。【昭和】
〔ギリシア語〕
エートス ethos
 ギリシア語では「慣習」「慣例」の意。いまではある民族社会に共通な性格や行動様式をいう。【明治】
パトス pathos
 「身体的、精神的体験」がもとの意。「情熱」「情動」のように使うこともある。英語読みのペーソスは「哀愁」のニュアンスがある。【明治】
ロゴス logos
 ギリシア語では「ことば」がもとの意。動詞レゲインlegein「言う」に対応する名詞である。「話」「理性」「思想」などの意味も派生した。【昭和】

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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