デジタル大辞泉の解説
はな‐ぢ【鼻血】
2 (「鼻血も出ない」「鼻血しか出ない」などの形で)出すものはすべて出した意で、有り金を使いはたしたたとえにいう。「競馬ですってもう
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鼻からの出血で、鼻出血(びしゅっけつ)ともいい、種々の原因でおこる。局所の原因としては、鼻の外傷(鼻いじりや気圧の変化によるものもある)、異物(動植物、無生物、鼻石など)、炎症(細菌性やウイルス性の急性・慢性鼻炎や副鼻腔(びくう)炎など)、良性あるいは悪性の腫瘍(しゅよう)(鼻、副鼻腔、鼻咽頭(いんとう))、アデノイド、副鼻腔や上咽頭の手術後などがあげられる。全身性の原因としては、高血圧、動脈硬化、慢性腎炎(じんえん)、妊娠、興奮などによる動脈圧の上昇、静脈圧の上昇、心臓疾患、百日咳(ぜき)や肺炎を含む肺疾患、血液および血管疾患(白血病、血友病、紫斑(しはん)病、貧血など)、ビタミンCやKの欠乏、重症肝疾患、内分泌疾患、代償性月経などがある。しかし、原因がまったくわからない特発性出血も少なくない。
出血部位は原因によって異なるが、鼻出血の90%は鼻中隔の前下部で、キーセルバッハKiesselbach部位あるいはリトルLittle部位とよばれる。ここは粘膜と皮膚の移行部に近く、正常でも血管が浮き出てみえることもあり、動静脈叢(そう)が発達しているので、わずかの外力でも障害を受けやすく、出血しやすい。ついで多いのは中鼻甲介や中鼻道である。出血の程度は種々であり、取るに足らない少量のものから致命的なものまである。普通は前鼻孔より流れ出るが、同時に後方へ回り、咽頭に流下したり、反対側の前鼻孔より出ることもある。咽頭へ流下した血液を飲み込むと、それが喀血(かっけつ)や吐血の原因になることもある。少量の鼻血は幼少児に多いが、大出血は老人に多い。
治療でもっとも注意しなければならないことは、咽頭へ流下した多量の血液が気管内に流入して窒息することのないように気道を確保することである。食道から胃へ飲み込むと嘔吐(おうと)し、そのために血圧が上昇して出血を増加させる危険もある。咽頭へ流下した血液は静かに吐き出すようにさせる必要がある。小出血の場合は頭の位置を高くし、できれば座らせる。鼻孔に脱脂綿を入れ、通常の出血部位である鼻中隔の前下部(キーセルバッハ部位)の血管を圧迫するため、両鼻翼を外から指で挟むようにして圧迫する。鼻根部と後頭部を氷または水で冷罨法(あんぽう)する。大量の出血の場合でも、頭をできるだけ高くして寝かせ、口を軽くあけて咽頭に回った血液が流れ出るようにさせる。誤って嚥下(えんげ)すると危険なことは前述したとおりである。不安になったり、興奮すると血圧が変動して出血が増加するので、介抱する者は安心感を与えるように注意する。ときには鎮静剤の投与を行う。もし大量出血によるショックをおこした場合は、その治療を優先させる。止血剤や血管収縮剤を浸した脱脂綿やガーゼを鼻腔内にできるだけ挿入して圧迫止血する。ときには空気で膨らませるバッグを挿入することもある。このようにしても咽頭への血液流下が多いときには、咽頭から後鼻孔のパッキングを行う。
全身的な治療としては、止血剤のほか、ガーゼなどを挿入した場合は抗生物質の投与、全身状態に応じた輸液や輸血を行う。こうした緊急治療を行ったのちに、原因疾患の治療をする。繰り返し出血する場合は、出血部位の電気焼灼(しょうしゃく)や、場合によっては支配動脈の結紮(けっさつ)などが必要となる。
[河村正三]
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
…性器外からの月経周期に一致した周期的な出血で,通常の子宮からの月経を伴う場合は補充月経として区別することもある。最も多くみられるのは鼻粘膜からの出血(鼻血)で,約30%を占める。この鼻血の原因は,鼻粘膜のある部位が卵巣から分泌される女性ホルモンであるエストロゲンに対し反応性をもち,局所的な充血あるいは血管の変化をきたすためと説明されている。…
…鼻に音が抜けすぎる声を開鼻声といい,〈ブ〉が〈ム〉,〈ヌ〉が〈デ〉,〈グ〉は〈ヌ〉に聞こえる。
[鼻の異常,病気]
風邪などで鼻炎や鼻詰りを起こすことや,いろいろな原因で鼻血のでることは経験的によく知られているが,外部からでもすぐわかる鼻の異常としては赤鼻(酒皶(しゆさ))がある。また鼻腔粘膜炎症の産物である鼻茸(はなたけ)は,副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎(鼻(び)アレルギー)のときにできやすいといわれている。…
※「鼻血」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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