取引デジタルプラットフォーム利用消費者利益保護法(読み)とりひきでじたるぷらっとふぉーむりようしょうひしゃりえきほごほう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

取引デジタルプラットフォーム利用消費者利益保護法
とりひきでじたるぷらっとふぉーむりようしょうひしゃりえきほごほう

インターネットを介した通販トラブルから消費者を守るため、売り買いの場(取引デジタルプラットフォーム、取引DPF)を提供する事業者を規制する法律。正式名称は「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」(令和3年法律第32号)。略称はデジプラ法。公布(2021年5月)から1年以内に施行予定。アマゾンや楽天などのネットモール運営者のほか、競売サイト、家事代行やベビーシッターのマッチング、電子チケット販売など、モノやサービス、権利を仲介する取引DPF事業者が広く対象となる。ネットモールで購入したバッテリーが原因の火災事故で、出店者(売主)と連絡がとれず、事故後も欠陥バッテリーの販売が続いている問題などを契機に、ネット取引の適正化と紛争解決の促進のために法制化された。

 取引DPF事業者に対し、(1)消費者が出店者と円滑に連絡できるようにする、(2)表示について苦情を受けたら必要な調査などをする、(3)証明書類など出店者の身元確認に必要な情報の提供を求める、の三つの努力義務を課した。危険な商品などが出品され、出店者の特定ができない場合、内閣総理大臣(消費者庁)は事業者に出品削除を要請できる。購入品をめぐって消費者が一定額以上の損害賠償請求訴訟を起こす場合、出店者の情報開示を事業者に求めることも可能(連絡先開示請求権)。消費者庁、取引DPF業者、消費者団体等による官民協議会を組織し、悪質出店者への対応などに取り組む。ただし努力義務に反したり、内閣総理大臣の要請に従わなかったりしても罰則はない。規制対象は法人(企業)と消費者間のいわゆる「B to C(Business to Consumer)」取引で、メルカリなどを利用した個人間の「C to C(Consumer to Consumer)」取引は対象外。罰則がないため、消費者団体からは実効性が担保されていないとの批判が出ている。同法は、2009年(平成21)発足の消費者庁が単独で立法化した初の法律である。

[矢野 武 2021年12月14日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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