デジタル大辞泉 「口渇」の意味・読み・例文・類語 こう‐かつ【口渇】 口中やのどが激しくかわき、水分を欲しがる状態。多尿症や脱水症に多くともなうほか、薬の服用や加齢によってもみられる。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
内科学 第10版 「口渇」の解説 口渇(症候学) 概念 口渇は水分摂取を欲する感覚である. 病態生理 血漿浸透圧や血清Naの上昇は第3脳室周囲にある終板器官(OVLT),脳弓下器官,内側視索前核など脳血管関門を欠く領域で感知され,その情報は視床下部前部,視束前野を中心とした第3脳室前腹側部にあると考えられる口渇中枢に伝達され,口渇を生じる.一方,大量出血など,循環血液量の10~20%程度の喪失は,頸動脈や左心房,傍糸球体装置にある圧伸展受容体で感知され,口渇中枢を刺激し飲水行動が誘発される.また循環血液量の減少はレニン分泌を増加させ,アンジオテンシンⅡ濃度の上昇によって脳弓下器官やOVLTが刺激され口渇が生じる.水分や体液の喪失,血漿浸透圧の上昇による口渇以外に,中枢性,腎性尿崩症による脱水,Sjögren症候群などの唾液分泌の減少,心因性多飲などさまざまな疾患で認められる(表2-9-1). 鑑別診断 口渇の原因検索にはHb,Htなどの血液検査,血清電解質(Na,K,Ca,Pなど),腎機能,血糖値,肝機能,血漿浸透圧,尿浸透圧,尿中Naなどの検査は必須である.尿崩症および心因性多飲の鑑別診断には血中,尿中バソプレシン測定や水制限試験,デスモプレシン投与,高張食塩水負荷試験を行う.中枢性尿崩症をきたす脳神経疾患にはMRIなどの画像診断を行う.Sjögren症候群の診断には抗核抗体,抗SS-B抗体などの自己抗体検査や唾液腺造影が有用である.[大島忠之・三輪洋人] 表2-9-1 出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報