MRI(読み)えむあーるあい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「MRI」の意味・わかりやすい解説

MRI
えむあーるあい

磁気共鳴現象を用いた画像撮影法もしくは撮影装置。磁気共鳴映像法magnetic resonance imagingの略称核磁気共鳴映像法、NMRイメージング(nuclear magnetic resonance imaging)ともよぶ。急性期脳梗塞(のうこうそく)から腫瘍(しゅよう)や筋骨格の精査まで臨床において幅広く用いられている。小動物イメージングや分子構造の解析にも用いられる。

 磁気共鳴現象は一定の磁場にある原子核が特定の周波数の電磁波により生じる核スピンの共鳴現象で、臨床では体内でもっとも多い水素原子核(プロトン)が対象となる。撮影する断面を傾斜磁場によって選択して画像化する。磁気共鳴現象の縦緩和を強調したT1強調画像、横緩和を強調したT2強調画像のほか、縦緩和と横緩和の影響を排除して水素原子核の密度を表すプロトン密度強調画像(PDWI:proton density-weighted image)、縦緩和と横緩和の影響が強いFLAIR(フレア)(fluid-attenuated inversion recovery)画像などさまざまなコントラストの画像が得られる。画像の外から流入する血流を選択的に描出するMRアンギオグラフィ(MR Angiography:MRA)は造影剤を使用せずに血管の画像化が可能で脳動脈瘤(りゅう)の診断に用いられる。

 fMRI(functional MRI:機能的磁気共鳴画像法)では、血中のヘモグロビンの酸素消費を画像化して脳神経活動を観察する。fMRIは脳生理や機能の解明、心理研究、手術のための脳表の機能マッピングなど、研究や臨床で広く用いられている。

 MRIはX線を用いないのでX線写真CTと異なり被曝(ひばく)がないが、撮影時間はより長い。磁性体金属は磁場により移動するため、体内に磁性体金属がある症例ではMRIは禁忌であり、MRI検査室内へ磁性体が持ち込まれないように注意する。ペースメーカーも基本的に禁忌であるが、近年はMRI対応のペースメーカーも登場してきている。

桐生 茂 2021年8月20日]

『荒木力著『決定版 MRI完全解説』第2版(2014・学研メディカル秀潤社)』

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