古典主義演劇(読み)こてんしゅぎえんげき(その他表記)classical drama

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「古典主義演劇」の意味・わかりやすい解説

古典主義演劇
こてんしゅぎえんげき
classical drama

ギリシアラテン古典劇模範とし,古典的であることを標榜した演劇。特にアリストテレス三一致法則に忠実であろうとするものをいう。古代ギリシア,ローマの演劇を起点として考えれば,コルネイユラシーヌの作品は新古典 (主義) 演劇であるが,フランス演劇のなかでは古典 (主義) 演劇に分類され,ここに用語概念に若干の混乱が生れる。いずれにせよ,17世紀ヨーロッパ演劇の主流をなすもので,さらにここから時代を下って 18世紀に書かれた古典主義的作品を擬古典主義演劇と呼ぶこともある。

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世界大百科事典(旧版)内の古典主義演劇の言及

【古典劇】より

…(1)悲劇喜劇のジャンルの区分が厳密であること,(2)全部が韻律をもった詩劇であること,(3)仮面の使用,(4)コロスの存在(作家により軽重がある),(5)野外の祭りの時空で上演されたことである。 狭義の古典劇の第2は,これらギリシア・ローマの古典劇に強くその影響をうけて成立した,16世紀から18世紀にかけての古典主義演劇のことである。これはロマン主義演劇の対立概念とも考えられる。…

【古典主義】より

…18世紀には,フランス古典主義は全ヨーロッパ的規模で新しい規範=古典となったし,ボルテールはある意味でその代弁者であったが,ラシーヌ悲劇に匹敵しうるものはついに作られなかった。
[古典主義演劇の特質]
 フランス古典主義演劇(古典主義文学)の特徴を要約すれば,次のようになるだろう。古代ギリシア・ローマの作家たちにおいて認められると考えられた〈秩序〉と〈調和〉への意志を規範とし,万人に等しく分かち与えられているはずの〈理性〉(デカルトの説く〈良識(ボン・サンス)〉)に照らして“自然な”表現の構造体を創造することによって,読者,観客に知的・感覚的楽しみを与えることを目的とし,そのような〈自然なもの〉の形成のためには最低不可欠の条件として守るべき〈規則〉を追求する志向だ,と。…

※「古典主義演劇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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