1996年に登録された世界遺産(文化遺産)で、モロッコの中北部メクネス州にある。メクネスは、9世紀に軍事拠点として建設され、17世紀後半のスルタン、ムーレイ・イスマーイールの時代に繁栄した。1672年にアラウィー朝のスルタンとなったイスマーイールはメクネスに都を置き、50年余に及ぶ長い統治時代に次々と巨大な城壁、壮大な門、穀物倉庫などを造った。西洋諸国とも積極的に交流したイスマーイールは、フランスのルイ14世に傾倒し、ベルサイユ宮殿をとても好んだ。イスマーイールの死後、メクネスは衰退し、歴史の舞台はマラケシやフェスへと移っていく。町に残るマグレブの都市建築様式、すなわち、ヨーロッパとイスラムの様式を融合させたスペイン・ムーアスタイルの建築物群には、17世紀の町の繁栄が偲ばれる。このような魅力が評価され、世界遺産に登録された。◇英名はHistoric City of Meknes