フェス(英語表記)Fès

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フェス」の意味・わかりやすい解説

フェス
Fès

モロッコ中北部,フェス州の州都。中央アトラス山脈北麓,セブ川の支流フェス川に臨み,オリーブなどの果樹園の広がるなだらかな丘に囲まれる。アルジェリアなどのテル地方の東西交通の要衝にあたる。 790年イドリース1世によってフェス川の右岸に,808年イドリース2世によって左岸に町が建設され,11世紀にムラービト朝のもとで双方が合併し,イスラム世界有数の都市となり,マリーン朝治下の 14世紀中頃に最盛期を迎え,人口 20万といわれた。町は三つの部分からなる。旧市街は 1981年世界遺産の文化遺産に登録。その中心は 857年頃に建てられたカラウィーン・モスクで,2万 2000人の参詣人を収容できる。カラウィーン大学 (859) もありイスラム文化の一大中心。 13世紀に建てられた新市街には,多彩色の尖塔をもつ美しい大モスク王宮,ユダヤ人居住区がある。 20世紀のフランス植民地時代の近代的市街が南西台地を占める。農畜産物を集散,加工する。絨毯,モロッコ皮加工,陶器,タイル,トルコ帽などの手工業が盛ん。人口 44万 8823 (1982) 。

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