可変後退翼航空機(読み)かへんこうたいよくこうくうき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「可変後退翼航空機」の意味・わかりやすい解説

可変後退翼航空機
かへんこうたいよくこうくうき

飛行中、速度に応じて後退角を自由に変更できる翼をもった航空機。航空機の翼のうち、矢羽根のように根元より端のほうが後方に位置するものを後退翼というが、後退翼は音の速さの0.7倍から3.0倍程度の高速度の飛行において、直線翼(後退角のない翼)よりも抵抗が少なくできるので、高速飛行に最適という特徴をもっている。しかし、離陸着陸のような低速度の飛行には、直線翼に比べ安定性が悪く、また単位面積当りに生ずる揚力が小さいなど、欠点も少なくない。可変後退翼機は、高速度では後退角を大きく、低速度では後退角を小さくして、後退翼と直線翼のそれぞれの特徴を一つの翼で得ようとした形式である。

 可変後退翼機には、両側の翼の後退角を同時に同方向に変更できるものと、前進角も後退角と同じ特質をもっているため1枚の翼を機軸上に置いた中心点を軸にして回転させ、高速飛行時には一方は後退翼、もう片方前進翼となるような斜め翼機(スリューウィング機)とがあるが、現在はほとんどが前者の形式で、後者はまだ実験の段階である。

[落合一夫]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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