可美真手命(読み)うましまでのみこと

精選版 日本国語大辞典 「可美真手命」の意味・読み・例文・類語

うましまで‐の‐みこと【可美真手命】

  1. 記紀神話で、饒速日命(にぎはやひのみこと)の子。物部氏の祖といわれる。うましまじのみこと。

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朝日日本歴史人物事典 「可美真手命」の解説

可美真手命

物部氏らの伝説上の先祖。『古事記』『日本書紀』『旧事本紀』によると,神武天皇東征に先立って,天磐船で天降り大和の地にあった天神饒速日命(ニギハヤヒノミコト)が,土着勢力である長髄彦の妹と結婚して生んだ。長髄彦は,神武東征の際,神武の軍にとって最も手強い敵だったが,ニギハヤヒ(『旧事本紀』ではウマシマデ)が長髄彦を殺して神武の側についたので,最終的に大和の平定が成った。天皇はその功績をほめてウマシマデに神剣を授け,これが石上神宮(天理市)の御神体だという。ウマシマデは天からもたらされた10種の神宝を天皇に献じ,以後武をもって仕えた。物部氏独自の歴史と伝統を象徴する人物である。

(溝口睦子)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「可美真手命」の意味・わかりやすい解説

可美真手命
うましまでのみこと

神武(じんむ)天皇の大和(やまと)平定物語のなかに出てくる人物で、饒速日命(にぎはやひのみこと)と長髄彦(ながすねひこ)の妹三炊屋媛(みかしぎやひめ)との間に生まれた子。饒速日命が天羽々矢(あめのはばや)や歩靭(かちゆぎ)などの神宝を持って天孫より先に天降(あまくだ)ったので、長髄彦は君として仕えたとされる(日本書紀)。『古事記』では、宇摩志麻遅命(うましまじのみこと)と記され、物部(もののべ)氏の祖となっている。『旧事本紀(くじほんぎ)』によれば、神武天皇のとき物部を率いて宮廷を固め、物部の鎮魂祭(たましずめのまつり)を始めたとある。

[守屋俊彦]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「可美真手命」の解説

可美真手命 うましまでのみこと

記・紀にみえる神。
饒速日命(にぎはやひのみこと)の子。物部(もののべ),穂積(ほづみ),采女(うねめ)氏の祖。「日本書紀」では母は長髄彦(ながすねひこ)の妹の三炊屋媛(みかしきやひめ)。「旧事本紀(くじほんぎ)」では神武天皇に神宝10種を献じ,矛(ほこ)と楯(たて)をもってつかえたという。「古事記」では宇麻志麻遅命(うましまじのみこと)。

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