まじ

  • まじ / 真風
  • 助動
  • 形動

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

主として九州東側,瀬戸内および四国地方で吹く局地風名称または南寄りの風。温暖で多湿な南風で夏の季節風をさす。「じ」は風のこと。九州や四国地方では「まぜ」,山陰地方や九州の一部では「はえ」ともいう。

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デジタル大辞泉の解説

[形動]《「まじめ」の》本気であるさま。本当であるさま。「まじな話」「まじ、うざい」→がち
[助動][まじから|まじく・まじかり|まじ|まじき・まじかる|まじけれ|○]《上代語「ましじ」の音変化》活用語の終止形に付く。ただし、ラ変型活用語には連体形に付く。
打消しの推量の意を表す。…ないだろう。…ないに違いない。
「唐(から)の物は、薬のほかは、なくとも事欠くまじ」〈徒然・一二〇〉
打消しの意志の意を表す。…ないつもりだ。…するつもりはない。
「ゆめゆめ粗略(そらく)を存ずまじう候」〈平家・七〉
否定されることが当然であることを表す。…するはずがない。…ないのが当然だ。
「いとあるまじきことと思ひ離れにしを」〈・葵〉
不可能の推量の意を表す。…できそうもない。…できないようだ。
「げにえ堪ふまじく泣い給ふ」〈・桐壺〉
不適当・禁止の意を表す。…しないほうがよい。…てはならない。…するな。「警官としてあるまじき行為だ」
「後世を思はん者は、湛汰瓶(じんだがめ)一つも持つまじきことなり」〈徒然・九八〉
[補説]「まじ」は「べし」の打消しと考えられる。平安時代以降、漢文訓読文の「べからず」に対して、和文では「まじ」が用いられたが、中世、連体形「まじき」のイ音便形「まじい」が現れ、新しく生じた「まい」に押されてしだいに衰えた。現代語では、5で「あるまじき」という形で用いるだけである。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

各地で「まじ」「まぜ」「まかぜ」とよばれる風を調べてみると、その風向がまちまちなので、風向による風の固有名ではないことがはっきりする。まじの語源には諸説あるが、ある場所、ある季節に吹く、その場所でもっとも重要な風がまじ・まぜなどという呼称でよばれていると思われる。まかぜ・まじをよい風の意味に解釈している説もあるが、実際には警戒すべき強風についていわれている場合もあり、かならずしもよい風であるというわけにはいかない。

(1)まかぜ 石川県・福井県および京都府では、冬にとくに多い北寄りの強風をいう。この場合「たまかぜ」からの転化であるという説もある。富山県氷見(ひみ)市藪田(やぶた)では春の南の最強風をまかぜとよんでいる。岩手県宮古市では西風をいう。

(2)まじ 南ないし南西の風。四国・九州東岸・山陰・瀬戸内にかけていう。

(3)まぜ 真風(まぜ)として古くは西風もしくは南西の風がよばれたが、地方名としては大阪・愛知・徳島・和歌山の各府県などでは南風をいい、岡山・高知両県と東京の八丈島などでは南西風をいう。

[根本順吉]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (形動) 「まじめ(真面目)」の略。
※洒落本・にゃんの事だ(1781)「気の毒そふなかほ付にてまじになり」
〘助動〙 (活用は「〇・まじく・まじ・まじき・まじけれ・〇」。補助活用は「まじから・まじかり・〇・まじかる・〇・〇」。動詞型活用語の終止形に付く。ただし、ラ変型活用語(形容詞・形容動詞)には連体形に付く。→語誌) 「べし」の打消に相当し、推量・意志などの強い打消を表わす。
① 不適当であるとの判断、または、しないことが当然・義務である意を表わす。…ないほうがよい。…のはずがない。…べきでない。
※東大寺諷誦文平安初期点(830頃)「為不(マジキ)行を為言ふ不(マジキ)行を為」
※土左(935頃)承平五年二月一六日「かくて京へ行くに、島坂にてひとあるじしたり。必ずしもあるまじきわざなり」
② 禁止、または、しないことを勧誘する意を表わす。…ないようにせよ。
※落窪(10C後)三「三日は、爰のものは外へは持ていくまじ」
③ 否定的な意志を表わす。…しないでおこう。…しないつもりだ。
※竹取(9C末‐10C初)「み命のあやうさこそおほきなるさはりなれば、猶つかうまつるまじきことを」
※平治(1220頃か)中「にくいやつばら。一人もあますまじ」
④ 否定的な推量の意を表わす。否定的に予想し、また推定する。きっと…ないだろう。…ないに違いない。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)「十千の魚有りて、日の為に暴(さら)されて、将に死なむこと久しくある不(マジ)
※竹取(9C末‐10C初)「重き病をし給へば、え出おはしますまじ」
⑤ 不可能だという判断を表わす。…できないだろう。
※竹取(9C末‐10C初)「なほ、この女見では、世にあるまじきここちのしければ」
[語誌](1)上代語の「ましじ」の変化したもので、中古になって成立した。「ましじ」と「まじ」には、接続・意味・用法において類似性が認められる。「ましじ」から「まじ」への変化は、類音が連続した場合、一方が落ちるという傾向によるものであろう。
(2)中古においては、和文の散文に見られ、和歌や漢文訓読資料においてはあまり見られない。中世以降、口頭語では次第に「まじい」「まい」が勢力を広げ、「まじ」は徐々に衰退していく。
(3)一般に、「まじ」は「べし」の否定であるといわれ、対応が注意されているが、接続・意味・文法機能において共通性が認められる。原則的に両者が承接しないことも注意される。
(4)接続は、中世以後、口語「まい」の接続の混乱が「まじ」にも及び、特に未然形に付く例が多くみられる。「金刀比羅本平治‐下」の「一人も助けまじき物を」など。

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世界大百科事典内のまじの言及

【風】より

…〈あなじの八日吹き〉といって,陰暦12月8日に荒れ模様になることなどがこの風の特徴。 油風(あぶらかぜ)〈油まじ〉〈油まぜ〉ともいう。4月ころ吹く南寄りの穏やかな風。…

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