コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

史的イエス してきイエス

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

史的イエス
してきイエス

信仰のイエス・キリストと対比される概念で,歴史的資料から史的批判的方法をもって構成認識されるかぎりでの地上の人物としてのイエスをさす。福音書にはイエスを救世主キリストとするキリスト教信仰の視点からその生が描かれているが,これと歴史的実像を区別して構成する試みが 19世紀からヨーロッパで盛んになり,さまざまなイエス像が提唱された。たとえば,人類愛を唱えた宗教的天才,反ローマ運動を組織した革命家であったなど。しかしこれらは時代思潮や論者の主観の枠を越えるものでなく,また互いに矛盾するものであったため,史的イエス認識の可能性さえ疑われるにいたった。さらに,福音書におけるイエス伝承の性格の解明を目指す様式史的研究や福音書記者たちの神学思想に注目する編集史的研究などによって,福音書が一般の伝記とは異なる信仰の所産であり,歴史的史料としては限界があることが強く意識されるようになった。しかし地上の生を生きたイエスのことばと業がなにであったかは,キリスト教信仰の基礎として欠かせない問いであり,方法論的困難を乗り越えてイエスの実像に迫ろうとする努力は現代でも繰り返されている。(→イエス伝研究

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報

史的イエスの関連キーワードシュトラウス(David Friedrich Strauß)マーチン ケーラーキリスト論ケーゼマンエレミアスヘルマンケーラー

今日のキーワード

アウフヘーベン

ヘーゲル弁証法の基本概念の一。あるものを否定しつつも、より高次の統一の段階で生かし保存すること。止揚。揚棄。→アン‐ウント‐フュール‐ジッヒ →弁証法...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android