改訂新版 世界大百科事典 「合成天然ガス」の意味・わかりやすい解説
合成天然ガス (ごうせいてんねんガス)
synthetic natural gas
略称SNG。代替天然ガスsubstitute natural gasともいわれる。天然ガスはメタンを主成分とするが,この天然ガスを代替するために合成された高カロリーの燃料用ガスをいう。一般に石炭を原料として生産されるが,石炭を酸素や水蒸気を用いてガス化すると,一酸化炭素や水素などの成分の多い,発熱量の低いガスしか得られない。低カロリーのガスは遠距離をパイプラインで輸送するとコストがかさむ。そこで高カロリーガスが必要になるが,その製造法は幾通りか考えられる。第1は一酸化炭素と水素からメタンを合成する方法である。すなわち,第2は石炭を高温で水素の存在下にガス化する方法で,メタン,エタンなどの含有量の多い高カロリーガスが得られる。第3に,日本では石炭微粉末と重油を原料として高カロリーガスを生産するハイブリッド法が開発研究の途上にある。
執筆者:冨永 博夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報