版画の技法。合羽版、型紙摺(かたがみずり)ともいう。孔版の一種で、染色で盛んに使われるステンシル法も同じ方法である。渋紙(しぶがみ)や桐油紙(とうゆがみ)など強い耐水性の紙に図様をかき、これを切り抜いて版とし、和紙などの上にのせて、上から刷毛(はけ)で絵の具を塗って図様を摺(す)り出すもの。桐油合羽に用いる紙を型紙に用いたところからこの名がある。日本では、江戸時代とくに上方(かみがた)で発達した技法で、1746年(延享3)刊、大岡春卜(おおおかしゅんぼく)画の『明朝生動画園(みんちょうせいどうがえん)』(明朝紫硯(みんちょうしけん))の色摺に一部この技法を用いたのが最初とされる。その後、1770年(明和7)ごろから雪圭斎昌房(せっけいさいまさふさ)、国花堂(こっかどう)、不韻斎(ふいんさい)らによって、木版墨摺絵(すみずりえ)の彩色に合羽摺を使用する方法が定着し、以後幕末まで京都を中心に制作されている。19世紀初頭の有楽斎長秀(うらくさいながひで)はこの技法の代表的絵師。
[浅野秀剛]
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