吉原浦(読み)よしわらうら

日本歴史地名大系 「吉原浦」の解説

吉原浦
よしわらうら

[現在地名]美浜町吉原

南流する西にし川の西岸にあり、西川を隔てて田井たい村と接する。西は和田わだ浦、南は太平洋。太平洋に面して小名新浜しんはまがある。沿岸海流によって形成された砂洲上にできた集落地名は興国四年(一三四三)の一向専修念仏名帳(西教寺蔵)に「ヨシハラノヨネ女」「ヨシハラノヒコ九郎」とみえる。西川と海に挟まれた湿地で、古くは葦が群生しており(現在は西川沿いの一部に残る)、地名は葦原の意と思われる。

慶長六年(一六〇一)の吉原村御検地帳写(佐々木家蔵)によれば高二三三石余で、そのほかに「蔵屋敷壱反二畝」とあり、さらに「此内御蔵先代官家アリ」と注がある。近世中期には日高郡の郡役所がその(現御坊市)と当浦の両所にあったが、浅野氏時代にも吉原浦に代官屋敷があったことがわかる。延宝六年(一六七八)の「日高鑑」によると田畑二四町八反余で高二四二石余。ほかに新田があり、高は二六石余、面積四町八反九畝二四歩、加子米二一・六石。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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