口上書(き)(読み)コウジョウガキ

デジタル大辞泉の解説

こうじょう‐がき〔コウジヤウ‐〕【口上書(き)】

口頭で述べることの趣旨や次第を文章にしたもの。口上。
江戸時代、裁判などに関する口頭の供述を筆録したもの。特に武士・僧侶・神官などの場合に限っていった。→口書(くちが)き

こうじょう‐しょ〔コウジヤウ‐〕【口上書】

外交文書の一。相手国に対してある意向を伝えるため、口頭で述べる代わりに文書にして渡すもの。

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世界大百科事典 第2版の解説

こうじょうがき【口上書】

口状,口上控,口上手控等ともいう。文書で意志を伝達する方法に対し,口頭=言葉で用件を申し述べるところを,その代りに書きものにしたもの。覚書とまぎらわしいが,本来,口上は本人がわざわざ相手方に参上し,面談あるいは申し述べるべきものを,相手方の取次者あるいは自分の使者に託した略礼の心があるようである。また別の本状に添えた説明の意のある添状の一種であるものもある。書式は一定しないが,宛所,差出,日付を欠くもの,その一部を具備したもの,一つ書事書のもの等がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

口上書
こうじょうしょ
verbal note

国家が、外交上の問題について、相手国に提出する正式の外交文書で、駐在外交使節(大使、公使)を通して相手国の外務省(国務省)に伝達する。「通牒(つうちょう)」と異なり、たとえば、ある問題についての了解を求める場合や、他国の行動の抑止を強く要求する場合で、相手国の返書を導くような強力な意思表示として用いられる。別に、相手国の行動に強く反対する場合には、「抗議文書」を用いる。[經塚作太郎]

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精選版 日本国語大辞典の解説

こうじょう‐がき コウジャウ‥【口上書】

〘名〙
① 口頭で述べることを文章に記したもの。
※高野山文書‐元祿一六年(1703)四月七日・天野社下遷宮記録案「天野神主え来る四月七日下遷宮之趣申渡候由、興山寺へ申遣之事、口上書年預坊之記録に有之事」
② 江戸時代の刑事訴訟で、訴訟当事者や被疑者の口述を筆記した文章。武士、僧侶、神官に限って用いられたもので、足軽、百姓、町人の口書(くちがき)と区別された。
※浄瑠璃・津国女夫池(1721)二「死骸に菰を着せた計外には何も存ぜずと、言ひ分の趣、両家の若党矢立を取出し口上書、一々しるし留めにける」
③ 江戸時代、領内の人民が、他支配、他領の者を相手取って訴訟を起こす場合、その領主が幕府の管轄奉行所に対し、訴訟の受理を依頼した文書。添使(そえづかい)口上書。
※政普集‐乾(古事類苑・法律五六)「公事訴訟諸願添簡等心得事〈略〉万石以上は家来之口上書可差出

こうじょう‐しょ コウジャウ‥【口上書】

〘名〙 外交文書の形式の一つ。相手国に対する意思を口述するかわりに、筆記して表示したもの。こうじょうがき。〔英和外交商業字彙(1900)〕

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世界大百科事典内の口上書(き)の言及

【覚】より

…文書の一様式。備忘のために記したものはすべて覚・覚書であるが,狭義には,使者または当事者が,相手への要件を表だたずに備要に記せば〈口上覚〉であり,文書にして手渡せば口上書となる。請渡しの品・用件などが簡単であれば覚を必要としないが,数多くあれば個条書き(一つ書)にして,遺漏のないように配慮され,本人が記して託することになる。…

【外交】より

… ノートnotes通牒ともいわれ,外交文書中最も重要なもので,使節団長が相手国政府にあてたものである。外交文書にはこのほか,口上書note verbale,覚書mémoireがあるが,それぞれフォーマルな程度を低くする。 なお,〈覚書〉〈外交特権〉〈共同宣言〉〈交換公文〉〈高等弁務官〉〈在外公館〉〈最後通牒〉〈条約〉などについては各項目を参照されたい。…

【吟味筋】より

…武士に関する手続では,揚座敷,揚屋(あがりや)に勾留し,御目見以上で500石以上の武士は大名,旗本に預ける。供述録取書を口上書といい,書判をさせる。拷問も科されるが,老中にうかがうことを要する。…

【口書】より

…江戸時代の調書。武士,寺社などの場合は〈口上書〉と称した。吟味筋の裁判(刑事裁判)では,審理が熟すると各被疑者ごとに自白を録取した口書を作成し,原則として奉行の面前で朗読したうえで押印(印形またはつめ印,武士は書判)させる(〈口書読聞(よみきけ)〉の手続)。…

※「口上書(き)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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