吉口伝(読み)きつくでん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「吉口伝」の意味・わかりやすい解説

吉口伝
きつくでん

『夕郎故実』ともいう。朝廷行事有職故実に関する記録。1巻。吉田 (藤原) 隆長 (1277~1350) が,当時代表的な貴族として名高かった兄定房 (→吉田定房 ) から聞いた話や,その日記から抜書きしたものをまとめたもの。なお定房の日記は『吉槐記』といわれ,わずか1年分しか現存しないが,その内容は『吉口伝』によって推測することができる。柳原家自筆本による伝写本があり,『続群書類従』には抄本のみが収められている。

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世界大百科事典(旧版)内の吉口伝の言及

【吉田定房】より

…建武中興とともに父祖を越えて内大臣に任ぜられ,南北両朝の併立期には北朝に仕えのち南朝に走り,吉野に没した。その日記を《吉槐記(きつかいき)》といい,正応6年(1293)正月記,乾元1年(1302)8月記,同2年正月・2月記,嘉元3年(1305)閏12月記,徳治1年正月記が残存するにすぎないが,定房の有職故実に関する言動や日記を,弟の隆長が編纂したものに《吉口伝(きつくでん)》一名《夕郎故実》がある。また《新後撰集》《続千載集》《続後拾遺集》《新葉集》《臨永集》などの和歌集に,その和歌が収められている。…

※「吉口伝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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