吉部村(読み)きべむら

日本歴史地名大系 「吉部村」の解説

吉部村
きべむら

[現在地名]むつみ村大字吉部上きべかみ・大字吉部下きべしも

高佐たかさ村の南西にあり、現むつみ村のほぼ半分の面積を占める。四方を山に囲まれ、集落は村内を流れる蔵目喜ぞうめき川とその支流域に散在する。西は紫福しぶき福井上ふくいかみ(現福栄村)、南は蔵目喜・生雲いくも(現阿東町)の各村。奥阿武宰判に属した。

「注進案」は「当村往古は高佐村へ属し候由之所、取分て土地宜敷所を引わけて壱村と成し、よき土地と申によりて吉部村と名付候由申伝ニ御座候」と村名の由来を記す。

中世は吉部郷(木部郷)とよばれ、文和元年(一三五二)八月一三日付の大井おおい八幡宮(現萩市)の宮座文書「御祭礼郷々社頭座敷本帳之事」に阿武郡一八郷の一として右座五番に「吉部郷」とみえる。吉部郷内には山口善福ぜんぷく寺と氷上山興隆こうりゆう寺の寺領があったらしく、嘉吉三年(一四四三)八月一七日付の善福寺敷地同寺領等注文(「寺社証文」所収山口善福寺文書)は、応永三四年(一四二七)七月二〇日付の大内義弘の文書のあることを記し、それには「長門国阿武郡吉部郷領家方内土貢拾石事」とあり、また永享九年(一四三七)二月一二日付の大内持世の文書(「寺社証文」所収氷上山興隆寺文書)に「長州阿武郡吉部郷内君谷」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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