精選版 日本国語大辞典 「向前」の意味・読み・例文・類語 きょう‐ぜんキャウ‥【向前】 〘 名詞 〙① いままで。さきほど。過去。こうぜん。[初出の実例]「羊質未参の後悔に向前の恨あり」(出典:海道記(1223頃)萱津より矢矧)[その他の文献]〔白居易‐琵琶行〕② 向かいあうこと。一座すること。[初出の実例]「其人滑稽奇談能く坐興を添ゆべき者と雖ども、亦往往向前(キャウゼン)の興を破る事あり」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉二二)[その他の文献]〔孟浩然‐越中逢天台太乙子詩〕 むこう‐まえむかふまへ【向前】 〘 名詞 〙① 真正面。また、物などを間にはさんだむこう側の正面。[初出の実例]「むこふめへからわるくからまるぜへ」(出典:洒落本・青楼真廓誌(1800)一)「行にゆかれぬ用水の、溝を隔て向前(ムカフマヘ)」(出典:人情本・明烏後正夢(1821‐24)三)② 人や家などが互いに向かいあうこと。また、向かいあう関係にある所。むこうどうし。[初出の実例]「門中でお前に耻をかかされては、向う前へ対しても外聞悪く」(出典:歌舞伎・黒手組曲輪達引(1858)二幕) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例